研究課題/領域番号 |
21H04891
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
廣林 茂樹 富山大学, 学術研究部工学系, 教授 (40272950)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2023年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2022年度: 13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2021年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
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キーワード | 信号処理 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、MRIで体動(ブレ)の影響を受けやすい微小空間を高速に計測するため、 計測点数を極限的に削減することができる超高精度信号解析法NHA(Non Harmonic Analysis: 申請者が考案した非周期信号のフーリエ変換式への最小二乗法の適用に基づく周波数分析法)を応用した次世代MRI信号解析技術を開発する。特に、本研究では、計測時間を大幅に削減して、生きた試料の極小部位のリアルタイム撮影を可能にする技術を開拓する。この技術により、MRIのハードウェア性能を極限まで引き出し、高速化と分解能向上を両立可能な次世代型MRI装置の実現化への貢献を目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究では、MRIで体動(ブレ)の影響を受けやすい微小空間を高速に計測するため、計測点数を極限的に削減することができる超高精度信号解析法(Non Harmonic Analysis: 申請者が考案した非周期信号のフーリエ変換式への最小二乗法の適用に基づく周波数分析法)を応用した次世代MRI信号解析技術を開発する。毛細血管などに代表される微小部位は、5分の1秒以下の計測で体動の影響を大きく改善できるといわれている。しかしながら、現在のMRIの計測時間は数秒程度掛かり、これを大幅に短縮しなければならない。生きた状態の微小部位の可視化実現のためには、計測データ削減による、解析精度の低下を最小化し、対象部位を正確に撮像することが必要である。 当該年度では、不等間隔データにおけるNHAの精度を検証するため、自作ファントムを用いて計測データの削減率と再構成画像の関係について、PSNRを用いて画質評価を行った。不等間隔サンプリングにおいて、ラジアルは、動きに対してロバストなためDCE-MRIによく利用されている。スパイラルは灌流画像等のリアルタイムスキャンに適しており、患者の動きやエリアシングアーチファクトの影響を抑制することが出来る。ランダムは、少ないデータから高精度の画像を復元する圧縮センシングで利用されており、近年はパラレルイメージングとの併用により一層高速化が期待されている。 既に申請者等の予備実験において、NUFFTの分解能以下に設置した数値ファントムをスパイラル軌道で計測したデータに対し、NUNHAはサイドローブとアーチファクトの影響を抑制した再構成画像を確認した。そこで、ラジアルやランダムの不等間隔データに対しても検証実験を行い、アーチファクトやサイドローブの影響をシミュレーションにより評価した。また、データ削減率とPSNRより、各不等間隔データにおいて最も効率的な計測軌道を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不等間隔データにおけるNHAの精度検証やファントム作成は順調であったが、当初の想定に反し、数値シミュレーションにおける解析結果に予期しなかった精度のばらつきが見られた。研究遂行上、この現象の本質を見極めることが不可欠なため、毛細血管を想定した検証実験及び数値シミュレーションによる解析を追加した。再実験結果を評価する必要が生じ、実験を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
超高磁場MRIで毛細血管レベルを可視化するには、莫大なデータを必要とするため、1枚のスライスの撮影時間が長くなり、病変部のリアルタイムな変化を可視化することが難しい。リアルタイムスキャンを可能にするためには、計測データを削減する必要がある。しかし、データ削減により血管のような微小組織は、アーチファクトやサイドローブの影響で見えづらくなる。特に局所部を拡大するとき、FFTのアーチファクトやサイドローブの影響は顕著に現れる。一方、NHAを使うことでアーチファクトやサイドローブを抑制し、正確に血管情報を抽出できる可能性がある。超高磁場による高分解能と、不等間隔サンプリングでデータ削減をすることによる高速化を両立することができれば、微小空間の病変部をリアルタイムで観察することができ、今後の最先端断層撮影技術として、医療業界に大きく貢献できる可能性がある。 今後は、この両立の可能性に関して検証を行う予定である。
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