研究課題/領域番号 |
21H04896
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
北澤 茂 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (00251231)
|
研究分担者 |
和田 充史 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (10418501)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2023年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2022年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
2021年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
|
キーワード | 背景座標系 / 楔前部 / 経頭蓋磁気刺激 / 視覚認知 / 視覚安定性 / 認知神経科学 / 磁気局所抑制法 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は毎秒3回も目を動かすのに、周囲の世界は動かない。脳はいかにして視覚世界を安定させるのか。我々は脳の内側面の楔前部に「背景座標系」が存在することを実証した。本研究ではこの「背景座標系」が「網膜座標系」からどのようにして構成されるのか、という構成の問題と、目が動いて有効な情報が遮断された期間も、世界が消えずに見えるのはなぜか、という情報補填の問題の2つの問題を神経生理学的手法を駆使して解決する。
|
研究実績の概要 |
我々は毎秒3回も目を動かすのに、周囲の世界は動かない。脳はいかにして視覚世界を安定させるのか。我々は、脳は「背景」を基準に統合して世界を安定化しているという「背景座標仮説」を提唱し、これまでの研究を通じて、大脳皮質内側面の楔前部に「背景座標系」が存在することを実証した。しかし問題が二つある。一つは、背景座標が網膜座標からどのようにして構成されるのかという問題である。もう一つは、目が動いて有効な情報が遮断された期間も、世界が消えずに見えるのはなぜか、という情報補填の問題である。第一の問題については「脳は視覚入力を注意を向ける「図」と背景を構成する「地」を時分割多重表現して楔前部で統合する」という新たな仮説を提案して、全周動画刺激を用いた実験系で検証する。第二の問題については、脳全体のネットワークの中心に位置する楔前部が情報のバッファーとしても機能していることを磁気局所抑制法を使って実証する。本年度においては項目1についてはヒトを対象とする全周動画刺激を用いた実験系をfMRIに移植するための装置の開発をさらに進めた。特に、和田らが開発した視野角100°の視覚刺激装置に、新たに視線計測機能を追加する開発を継続して行った。項目2については、楔前部を磁気局所抑制することによって、数秒前に見た全周動画の風景の記憶が著しく障害されることについて、論文の査読者の意見に従い追加実験を行った。さらに、磁気局所抑制によって楔前部との機能的結合が低下する領域を網羅的に探索する実験の結果を解析して、楔前部と海馬傍回と海馬を含む海馬ネットワークとの機能結合が著しく低下することを確かめた。楔前部に表現される背景座標系の情報は、個体が現在する「ここ」の風景の表象を記憶にとどめるためにも必須の領域であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
fMRIの際に用いる視野角100°の視覚刺激装置の視線計測機能の開発が遅れ、反復抑 制法を用いて、全周動画自由視条件下でも楔前部に背景座標が表現されていることを確認するための実験の実施が次年度以降に先送りになったため。
|
今後の研究の推進方策 |
視野角100°の視覚刺激装置の視線計測機能の開発を進め、fMRI法を用いた研究の実施を進める。並行して、サルの電気生理学的研究で得られた知見の論文を投稿して出版する。
|