研究課題/領域番号 |
21H04915
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 (2023-2024) 九州工業大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
山西 芳裕 名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (60437267)
|
研究分担者 |
石崎 敏理 大分大学, 医学部, 教授 (70293876)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
|
キーワード | 創薬標的 / ビッグデータ / AI / 医療 |
研究開始時の研究の概要 |
新薬を一個開発するのに数千億円の研究開発費と10年以上の歳月を要すると云われており、新薬開発の道のりは非常に険しく遠い。また創薬ターゲットの枯渇が深刻化しており、従来の研究手法では限界があるため、ビッグデータやAI技術の有効活用が切望されている。本研究では、多様な疾患の患者に関する医療ビッグデータを解析し、創薬ターゲットを予測する人工知能(AI)の研究開発を行う。予測結果を実験で検証し、有用な新しい創薬ターゲット分子を同定することを目標とする。
|
研究実績の概要 |
近年の医薬品開発は非常に困難な状況にある。また創薬ターゲットの枯渇が深刻化しており、近年の創薬の低迷の一因となっている。既存の研究手法では限界があるため、ビッグデータや人工知能(AI)技術の有効活用が切望されている。本研究では、医療データやオミックスデータを解析し、創薬ターゲットを予測する人工知能(AI)の基盤となる機械学習手法の研究開発を行う。潰瘍性大腸炎、クローン病などに関する患者の遺伝子発現情報、病因遺伝子、配列変異、環境因子、診断マーカー、治療標的、異常パスウェイなどの分子機序データを、OMIM, KEGG, GEOなどのデータベースや文献から整備した。また新しい情報を加えてデータを更新した。SNPなど配列変異の情報を用いる可能性も検討した。さらに、バルクレベルだけでなくシングルセルレベルのオミックス情報の解析手法についても検討を行なっている。疾患-タンパク質の関係性の情報を収集して、情報解析できる電子データの形に整備した。また新しい情報を文献から収集し、それを加えてデータを更新した。データベースとして公開できるように整備を進めている。タンパク質をコードする遺伝子に摂動を加えた時のヒト細胞の遺伝子発現プロファイルを解析し、疾患の新しい創薬ターゲット分子を予測する深層学習モデルを検討し、従来手法よりも性能が高いことを確認した。特に次数が少ない疾患に対しても予測できる点が特徴である。オーファンな希少疾患へも応用可能にした。提案手法のアルゴリズムやその解析結果を論文にまとめ、ジャーナルや国際会議に投稿中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疾患の分子機序データや既知の治療標的情報に基づいて、疾患の治療標的を予測する機械学習モデルを構築することができた。特に新しい深層学習モデルの方法を提案し、従来手法よりも性能が高いことを確認した。特に次数が少ない希少疾患に対しても予測できるようにした。ゲノム、エピゲノム、トランスクリプトーム、プロテオームなどのオミックス情報をフル活用し、教師なし学習や教師付き学習を組み合わせて予測できるような枠組みを構築した。これらの研究成果については、複数のジャーナルや国際会議に投稿中である。リバイズまで進んでいるものもある。疾患-タンパク質の関係性の情報を収集して、機能的な情報もアノテーションして情報解析できる電子データの形に整備することができた。対象疾患に対してヒト由来細胞やマウスなどの動物モデルを使った評価系の構築を進めてきており、ある程度構築することができた。第三者の研究者も利用できるようにデータベース化の方向で、公開できるように整備を進めている。この研究テーマやこれまでに得られた研究成果は国内外で大きな注目を浴びている。国際学会からも4件の招待講演の依頼があった。国内学会の医学・薬学関連学会からも多くの招待講演の依頼があった。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに開発してきた機械学習モデルは、治療標的に関する情報が少ない疾患に対する精度には限界がある。教師つき学習の枠組みだけでなく、教師なし学習や半教師つき学習の枠組みも取り入れた方法論を開発する。オーファンな希少疾患へ応用した際の精度を高めれるように改良を行なっていく。また深層学習モデルを拡張し、より精度の高い方法への拡張を行うことを検討する。潰瘍性大腸炎、クローン病などに関する患者の遺伝子発現情報、病因遺伝子、配列変異、環境因子、診断マーカー、治療標的、異常パスウェイなどの分子機序データを、さらに収集して整備し、最新のデータに全て更新する。利用しやすいように、データベース化も進めていく。既知の創薬ターゲット情報は、現在独自に文献から収集・整備しているが、更に拡充して、機能的なアノテーション情報を付加する。ゲノム関連データやエピゲノム関連データ、プロテオーム関連データを整備し、これらの情報も取り入れた方法論を開発する。対象疾患に対してヒト由来細胞やマウスなどの動物モデルを使った評価系の構築を進めてきており、これらを活用して、開発してきた機械学習手法で予測した結果を、実際に治療効果につながるかどうかの検証を進めていく予定である。
|