研究課題/領域番号 |
21H04920
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小椋 康光 千葉大学, 大学院薬学研究院, 教授 (40292677)
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研究分担者 |
鈴木 紀行 千葉大学, 大学院薬学研究院, 准教授 (10376379)
福本 泰典 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (10447310)
田中 佑樹 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (50824041)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2023年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2022年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
2021年度: 17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
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キーワード | ナノ粒子 / セレン / 水銀 / テルル / 活性硫黄 / 高時間分解型ICP-MS / グルコン酸 / リソソーム / 電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
動物細胞がナノ粒子を作り出す機構やその生物学的・毒性学的意義を明らかにしようとする研究は、これまで皆無であったと言って良い。本研究は、動物が金属の曝露を受けたときに、その防御反応として、動物が作り出す内因性金属ナノ粒子(バイオジェニックナノ粒子、BgNPs)について、1)BgNPsはどのように生成するのか、2)BgNPsはどのように生体外へ排泄されるのか(あるいはされないのか)、3)BgNPsはなぜ生成するのか(その毒性学的意義とは)、という3点について解明し、生体が有する金属に対する新たな制御機構を提唱することによって、金属毒性学にパラダイムシフトをもたらすことを目指す。
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研究実績の概要 |
様々な用途のために化学的に合成されたナノ粒子が、生体や細胞に対してどのような影響を及ぼすかという観点の毒性学的研究、すなわち外来性のナノ粒子の毒性研究は、これまで数多くなされてきた。しかし、毒性が高いとされている水溶性の金属元素が動物細胞に曝露された場合、元素状つまり不溶性のナノ粒子を形成し、生体分子との相互作用を低下させることにより、解毒を図るという機構が動物細胞にも存在することが明らかになりつつある。本来、動物は生活環境に合わせて、環境から曝露される化学物質を代謝し、排泄するという解毒を行っているが、細胞内でナノサイズの不溶性含金属粒子(バイオジェニックナノ粒子)を生成し、必ずしも排泄を伴わない毒性の低減という代謝機構の存在を示唆するという毒性学のパラダイムシフトを目指して、その機構を明らかにしていくことが本研究の目的である。本年度は、テルルという産業上有用な半金属元素のバイオジェニックナノ粒子生成の機構の一端を明らかにした。また、長年懸案となっていた植物内でのテルルの主要代謝物の同定についても検討し、成果を得た。 単細胞藻類、高等植物及び動物細胞といった生物種を越えてテルルのナノ粒子が生成するが、その詳細な機構については明らかとなっていなかった。本研究において、培養細胞を用いて、テルルのナノ粒子が生成する機構を明らかにした。現在、論文を執筆中である。 また植物体内での主要なテルル代謝物の同定にも成功し、これについても現在論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度にセレンと水銀によって形成されるナノ粒子の生成機構について解析を行ったが、今年度に主に取り組む予定であったテルルのナノ粒子形成についても想定した通りの成果が得られたため、「おおむね順調に進展している。」と自己点検評価を行った。 特に、テルルバイオジェニックナノ粒子の生成に関わる生体内の因子の特定や未知代謝物の同定などついては、当初の想定を上回る成果を挙げることができている。
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今後の研究の推進方策 |
様々な用途のために化学的に合成されたナノ粒子が、生体や細胞に対してどのような影響を及ぼすかという観点の毒性学的研究、すなわち外来性のナノ粒子の毒性研究は、これまで数多くなされてきた。しかし、毒性が高いとされている水溶性の金属元素が動物細胞に曝露された場合、元素状つまり不溶性のナノ粒子を形成し、生体分子との相互作用を低下させることにより、解毒を図るという機構が微生物、植物、動物に渡り普遍的に存在することを明らかにしつつある。本来、微生物、植物あるいは動物は生活環境に合わせて、環境から曝露される化学物質を代謝し、排泄するという解毒を行っているが、生命体がナノサイズの元素を生成し、必ずしも排泄を伴わない毒性の低減という代謝機構の存在を示唆するという毒性学のパラダイムシフトを目指して、最終年度にはさらにその機構の詳細を明らかにしていくことを想定している。
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