研究課題/領域番号 |
21H04945
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
有村 俊秀 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70327865)
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研究分担者 |
武田 史郎 京都産業大学, 経済学部, 教授 (00364688)
亀山 康子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (10250101)
川瀬 剛志 上智大学, 法学部, 教授 (60275302)
杉野 誠 法政大学, 人間環境学部, 教授 (60535780)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
32,630千円 (直接経費: 25,100千円、間接経費: 7,530千円)
2023年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2021年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
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キーワード | 国境炭素価格(CBAM) / WTO / 応用一般均衡分析 / グラビティモデル / 産業連関分析 / 国境炭素調整 / CBAM / カーボンプライシング / 気候変動 / リーケージ / カーボンニュートラル / 脱炭素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、国境炭素価格(Carbon Border Adjustment Mechanism: CBAM)導入が、CO2削減にもたらす効果と、各国の国内政策に与える影響を分析する。同時に、日本においてCBAMを導入する場合に考えられる制度設計や、その効果について検討する。CBAMの 短期効果には計量モデルを用いて分析する。中長期的効果は応用一般均衡分析を用いて分析する。また、CBAMが各国の取組に与える影響を分析する。日本の制度設計においては対象業種の選定を暗示的炭素価格も踏まえて検討する。そして、貿易に対して阻害性の少ない中立的な制度設計のあり方についてWTOルールを基礎に検討する。
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研究実績の概要 |
EUが導入を進める国境炭素調整メカニズム(EUCBAM)の情報収集を行った。その概要については、いくつかの媒体で紹介した。 次に収集した情報をベースに、CBAMの経済分析を行った。手法としては、三つのアプローチから行った。第一のアプローチは、応用一般均衡分析(CGE)モデルによるものである。今年度は、CGEモデルを構築し、日本経済並びに世界経済への影響を分析した。分析の結果、日本への定量的な影響は限定的であることが示された。結果は、ディスカッションペーパーとして発行した。 第二に、EUCBAMの日本経済への詳細な影響分析のために、産業連関分析を開始した。 第三に、もう一つの手法として構造グラビティモデルによる分析の準備を進めた。貿易データを入手し、基礎的な計量モデルの推定を行った。 EUのCBAMはEUの排出量取引制度、EUETSによる炭素リーケージ対策として導入されている。そこで、日本国内のETSが炭素リーケージをもたらしているかどうかを検証した。具体的には、東京・埼玉の排出量取引制度を取り上げて、計量分析を行った。分析結果は、ディスカッションペーパーとして発行した。 法律的な観点からは、EUのCBAM提案について、WTOとの整合性も考慮し、引き続き分析を行った。分析結果は研究会などで報告を行った。 国際政治の観点からは、昨年度に引き続き、安全保障の観点に注目し、分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、EUが導入を進める国境炭素調整メカニズム(EUCBAM)の情報収集を行った。その概要については、いくつかの媒体で紹介した。 次に収集した情報をベースに、CBAMの経済分析を行った。手法としては、三つのアプローチから行った。第一のアプローチは、応用一般均衡分析(CGE)モデルによるものである。今年度は、CGEモデルを構築し、日本経済並びに世界経済への影響を分析した。分析の結果、日本への定量的な影響は限定的であることが示された。結果は、ディスカッションペーパーとして発行した。第二に、EUCBAMの日本経済への詳細な影響分析のために、産業連関分析を開始した。その結果、どの業種で影響が大きいかが示唆された。第三に、もう一つの手法として構造グラビティモデルによる分析の準備を進めた。貿易データを入手し、基礎的な計量モデルの推定を行い、妥当な推定結果が得られた。 炭素リーケージの事例として、日本の地域レベルのETSが炭素リーケージをもたらしているかどうかを検証した。具体的には、東京・埼玉の排出量取引制度を取り上げて、計量分析を行った。分析結果は、ディスカッションペーパーとして発行した。 法律的な観点からは、EUのCBAM提案について、WTOとの整合性も考慮し、引き続き分析を行った。 国際政治の観点からは、昨年度に引き続き、安全保障の観点に注目し、分析を進め、成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
EUが導入を進める国境炭素調整メカニズム(EUCBAM)の制度詳細及び政治経済的な背景については、引き続き情報収集を行う。 CBAMの経済分析については、それぞれ、以下のような方向で進める。第一のアプローチである応用一般均衡分析(CGE)モデルによる研究については、学会発表を通じて、論文をブラッシュアップする。そして、学術誌に投稿する。第二のアプローチである産業連関分析については、学術雑誌への投稿の準備として、成果をディスカッションペーパーとして発表する。第三の構造グラビティモデルによるアプローチについては、CBAMのシミュレーションを行う。さらに、輸送部門からの排出量もモデル化するよう準備を行う。さらに、ディスカッションペーパーとしてまとめる。また、学会発表やセミナー報告を通じて、ブラッシュアップする。 国内ETSを対象とした炭素リーケージの研究は学会発表を通じてブラッシュアップし、学術雑誌への投稿を進める。 法律的な観点からは、EUのCBAM提案について、WTOとの整合性も考慮し、引き続き分析を行う。国際政治の観点からは、昨年度に引き続き、安全保障の観点に注目し分析を進める。 また、全体の成果をまとめた書籍の発行の準備を進める。
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