研究課題/領域番号 |
21H04948
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
金 誠培 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (60470043)
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研究分担者 |
チッテリオ ダニエル 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (00458952)
牧 昌次郎 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20266349)
大浪 修一 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (50348843)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2024年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2021年度: 15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
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キーワード | 生物発光プローブ / イメージング / 化学物質 / リスク評価 / 線虫 / 生物発光 / 可視化 / アルブミン / 生理活性 / バイオアッセイ / セレンテラジン / 生理活性物質 / 一分子型生物発光プローブ / ルシフェラーゼ / 一分子型生物発光プロ ーブ |
研究開始時の研究の概要 |
当研究では、画期的な「化学物質の生理活性評価法」として、「独自の虹色発光線虫モデル」を樹立し、「特異的な発光色・行動パターンの解析」により、「化学物質の生理/老化活性、炎症/免疫毒性など」の評価基盤を創成することを目的とする。この評価基盤を「生きた総合病院・環境診断センター」と命名する。 そのために、1)生体内分子イベントの発光可視化プローブ類と多色発光基質の精密有機合成技術を組み合わせることにより独自の虹色発光システムを構築する。2)ゲノム編集により虹色発光線虫を樹立し、体液や環境サンプルに曝露された発光線虫の特異的な発光色や行動パターンを多面的かつ網羅的に解析する。
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研究実績の概要 |
当該年度の研究の全体枠組みとして、基礎分野の電通大・牧研と慶大・チッテリオ研の分担者が発光・蛍光インジケーターの合成を行い、産総研・金らが人工生物発光酵素類の新規開発、細胞局在に特化した一分子型発光プローブの設計・開発、動物細胞への応用研究を行った。さらに理研・大浪研究室ではこれらの発光システムの線虫応用研究を実施した。 具体的には、電通大・牧研は、ヒトやウシ由来の血清アルブミン(HSAやBSA)に特異的に発光する新規発光インジケーター類を開発した。その内、S6はHSAに特異的に発光し、S6hはBSAに特異的に発光する現象を発見した。これらの発光インジケーターは、血中アルブミンのバイオアッセイや尿・大便中のアルブミン測定により大腸癌や糖尿病の検査などにも応用できる。この成果を纏めて1報の国際論文を発表し1件の特許申請も行った。 また、慶応大・チッテリオ研では、独自の合成技術を生かして、生細胞内のカルシウムイオン(Ca2+)の蛍光可視化に成功した。この成果を纏めて1報の国際論文を発表した。 また、金らは、電通大・牧研と協力しアルブミン発光に関する共同研究を実施した。別途、従来よりサイズの小さい人工生物発光酵素(ALuc)類を開発しALuc60番台と名付けた。更にALuc60番台に基盤する一分子型発光プローブを開発し、ホルモン様化学物質の活性評価を実施した。また細胞内局在シグナルに着目した発光蛋白質プローブ類を開発し、核内や小胞体などに特化した発光プローブの開発を行った。これらの成果を纏めて、3報の国際論文発表を行った。 他に、理研・大浪研では、これらの開発した発光・蛍光プローブの線虫応用研究を行った。Ca2+蛍光インジケーターを用いた線虫のイメージングや一分子型発光プローブの遺伝子を線虫型のコドン最適化を行うなど、当該全体研究計画に資する研究を着実に進行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、当初の研究計画であった発光・蛍光の基礎研究(発光材料開発、有機合成、発光特性評価)から動物細胞や線虫を用いる応用研究まで幅広い研究を実施した。全体計画に資する多数の研究成果を着実に得たことで「おおむね順調に進展している」に該当すると自評する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、これまで実施してきた基礎から応用までの幅広い研究スペクトルを更に発展させつつ、これまでの研究成果の国内外発表にも積極的に取り組む予定である。 具体的には、ヒトやウシ、マウスの血清アルブミン類に特異的に発光するインジケーター類をセレンテラジン骨格より有機合成し、モデル生物(マウスや線虫)などに応用する研究を実施する。また生活習慣病の指標である核内受容体PPARgに着目した発光プローブの開発や2分子型発光イメージングプローブという新規概念のバイオアッセイ技術を開発していく。他に発光特性を調べる基礎研究として電通大・牧研を中心に多数の構造異性体の合成と生理活性評価に関する動物細胞実験を行う予定である。これらの発光インジケーター類を更に線虫に応用する研究を実施する。当該年度が本基盤A研究の最終年度であることから、これまでの研究成果を国内外の学会などに積極的に発表する。
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