研究課題/領域番号 |
21H04959
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
遊佐 宏介 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (00813180)
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研究分担者 |
青木 一成 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (30618020)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2021年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | CRISPR-Cas9 / 遺伝学的スクリーニング / 白血病 / in vivoモデル / Genetic screening / Leukemia / in vivo model / ゲノム編集 / Flp / スクリーニング / T-ALL / in vivo CRISPRスクリーニング / 多発性骨髄腫 / 増殖必須因子 / 分子標的 / Cre |
研究開始時の研究の概要 |
順遺伝学は網羅的遺伝子探索法として強力な研究手段である。長らく困難であったほ乳類細胞において順遺伝学を実現するため、我々はCRISPR-Cas9システムを応用しCRISPRスクリーニング法を開発した。多くの研究室において実施されてきたが、そのほとんどはin vitro 培養細胞を用いている。生体内での生命現象、特に生体内負の選択は技術的困難を伴う。本研究では、マウスへ移植後、骨髄中で増殖するヒト多発性骨髄腫を解析対象として、負の選択に着目したin vivo CRISPRスクリーニングの技術基盤を開発する。また、ヒト多発性骨髄腫の骨髄内増殖必須遺伝子を同定して、新規治療戦略への応用展開を目指す。
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研究実績の概要 |
マウス遺伝学において時空間特異的遺伝子破壊のために一般的に用いられるCre-loxPシステムであるが、ヒト細胞においては予想以上の高い細胞毒性が見られ、本システムによる遺伝子発現制御は困難であった。その代替法として、Creとは異なる配列を認識する同様の部位特異的組換えシステムvCre-vlox及びFlp-FRTを検討した。結果、vCreは毒性を示した一方、Flpは毒性を示さなかったことからFlp-FRTシステムが有効であることがわかった。組換え効率は最大80%程度であったが、スクリーニングは実施可能と判断した。 多発性骨髄腫が骨髄にとどまる機構の重要なものの一つはCXCR4-CXCL12の相互作用であり、in vivoスクリーニングではこの相互作用に関わる因子もヒットすると考えられる。そこで、in vitroケモタキシスアッセイを用いてCXCR4-CXCL12相互作用にかかわる因子をゲノムワイドCRISPRスクリーニングで同定することとした。アッセイにはこの実験系で実績のあるT細胞急性リンパ性白血病細胞(T-ALL)株を用いた。スクリーニングの結果、既知の細胞運動にかかわる因子の他に、クロマチン制御因子を得た。分子メカニズム解析の結果、クロマチン制御因子はT-ALLで重要な転写因子RUNX1のゲノムへの結合に必須であり、クロマチン制御因子の活性を阻害するとRUNX1の下流遺伝子の発現が有意に低下することが明らかとなった。下流遺伝子にはCXCR4があり、その発現が低下することでCXCL12に対するケモタキシス活性が低下することがわかった。RUNX1の下流にはT-ALLの増殖に必須の遺伝子群もあり、これらの遺伝子も発現低下することで抗腫瘍効果が発揮される。このことより、クロマチン制御因子がT-ALLの治療標的となることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Cre-loxPシステムの代替法として、Creとは異なる配列を認識する同様の部位特異的組換えシステムvCre-vlox及びFlp-FRTを検討することとし、vCreERT2あるいはFlpERT2をDNA損傷に感受性の高いヒトES細胞に導入し、その細胞毒性を解析した。タモキシフェン誘導後、vCreERT2は細胞毒性を示し高い細胞死が検出されたのに対し、FlpERT2では細胞死は見られなかった。次に組換え効率を測るために、FRT-STOP-FRT-mCherry-Cas9カセットを作製し、内在性遺伝子座(GAPDH座)に導入した。タモキシフェン誘導による組換えで発現してくるmCherryの陽性細胞割合を解析した結果、最大80%の細胞が組換えを起こすことがわかった。これらの組換え細胞でゲノム編集活性があるかどうかをレポーター遺伝子に対するガイドRNA を発現して解析した結果、良好な活性が見られ、システム全体が機能することが明らかとなった。 In vivoで使用するシステム開発と並行して、多発性骨髄腫が骨髄にとどまる機構の一つCXCR4-CXCL12の相互作用に着目したゲノムワイドCRISPRスクリーニングを、in vitro系を用いて実施した。同定された因子の一つクロマチン制御因子の分子メカニズム解析を完了し、転写因子RUNX1のゲノムへの結合、つまり転写活性作用に本クロマチン制御因子が必須であることを明らかとした。このことをまとめた論文を現在投稿中である。白血病治療の新しい標的となることを検証するため、今後、患者由来ゼノグラフトモデルを使ったin vivoでの阻害剤の薬効の検証を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
FlpERT2発現ユニット、FRT-STOP-FRT-Cas9発現ユニットをCre-loxPシステムを使用した時と同様にpiggyBacトランスポゾンに組み込み、骨髄腫細胞あるいは白血病細胞に導入して、DNAの組換えによりゲノム編集が活性化するシステムの構築を目指す。In vitroでのゲノム編集活性の検証を終えたのち、免疫不全マウスに細胞を移植して、in vivoでもゲノム編集を誘導的に行えるかどうか検証を進める。 スクリーニングを行う上で重要なのが、ライブラリーに含まれるガイドRNAの総数に対するカバー率である。移植された細胞においては、その生着細胞数がこのカバー率に大きな影響を及ぼす。そのため、各細胞株の生着率、生着細胞数の検証をバーコーディング技術を用いて実施し、in vivoスクリーニングに適した細胞株の選定を進める。 白血病細胞のin vitroスクリーニングで得られたクロマチン制御因子をモデル因子とし、in vivoで誘導型ゲノム編集を実施した場合の表現型解析を実施する。これはより特異的に標的遺伝子の表現型を解析するだけでなく、スクリーニングを行う際の細胞の回収時期等の判断基準として重要なデータとなる。 新たに白血病の治療標的として同定したクロマチン制御因子に関しては、患者由来ゼノグラフトモデルを使ってin vivoでの阻害剤の薬効の検証を進める。
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