研究課題/領域番号 |
21H04972
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
江副 祐一郎 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (90462663)
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研究分担者 |
船瀬 龍 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (70509819)
中嶋 大 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (70570670)
川端 洋輔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (80803006)
三石 郁之 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (90725863)
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研究期間 (年度) |
2021-05-18 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
400,790千円 (直接経費: 308,300千円、間接経費: 92,490千円)
2024年度: 58,110千円 (直接経費: 44,700千円、間接経費: 13,410千円)
2023年度: 76,180千円 (直接経費: 58,600千円、間接経費: 17,580千円)
2022年度: 191,880千円 (直接経費: 147,600千円、間接経費: 44,280千円)
2021年度: 74,620千円 (直接経費: 57,400千円、間接経費: 17,220千円)
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キーワード | X線 / 地球磁気圏 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,X線による地球磁気圏の可視化を世界で初めて実現し,ダイナミックに変動する地球磁気圏の姿を明らかにすることである。地球磁気圏の構造と変化は,人工衛星の「その場」観測によって大きく理解が進んだが,可視化の手段に乏しく大局的な変化を捉えることは困難とされてきた。一方で近年,X線天文衛星の観測において,磁気圏起因と考えられる軟X線放射が発見され,この放射を用いれば太陽風と地球磁気圏の境界面が可視化できうることが指摘されている。本研究では,独自の広視野X線撮像分光装置と超小型衛星を統合した地球磁気圏X線撮像衛星GEO-Xを実現し,地球磁気圏のダイナミックな変動を多様なスケールで把握する。
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研究実績の概要 |
本研究が目標とする GEO-X 衛星の実現とそれによる地球磁気圏X線撮像の実現のための重要な開発要素は,(1) コンパクト・軽量・高感度・広視野X線撮像分光装置と,(2) 観測地点である地球磁気圏の外に到達するために高い推力を持つ推進系を備えた超小型衛星である。そこで観測装置の性能実証モデルを製作評価すると共に衛星バス設計と衛星の姿勢制御系の開発を行った。並行してH3ロケット等の打ち上げ遅延が判明したため、打ち上げ機会の調査を実施し、有望な候補の選定を進めた。 (1) 観測装置:望遠鏡はSi基板から光学系基板の製作を行い組み立てを実施することで製作手順の確認を行った。検出器はCMOSセンサを購入し軟X線での性能を評価すると共にバックエンド回路の製造も完了した。可視光防護フィルタもX線・可視光の透過率評価が完了した。ハウジング及び衛星とのI/F確認も進めた。いずれも順調に進んでいる。 (2) 超小型衛星:衛星バスのコンポ配置を決めて形状および重量が概ね定まった。軌道遷移に伴う軌道解析,軌道上での熱解析や放射線解析を実施して影響を定量化した。これらの結果は観測装置の設計に反映されている。GEO-Xでは姿勢制御・軌道遷移のための推進系を持つため,その制御を行うためのアビオニクスの開発を進めた。これらに加えて別予算ではあるが推進系の性能実証モデルも開発して推力履歴,気密,断熱等の実証試験を実施した。こちらも順調に推移している。 その他:観測装置及び衛星検討の具体化に伴いサイエンス検討も進め,衛星軌道や視野を考慮した観測シミュレータを構築中である。並行して科研費以外の大型の外部資金獲得にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発は総じて順調である。ハードウェア開発とサイエンス検討両面で予定通りと言って良い進展があった。一方で年度後半に当初想定していたH3ロケット等の遅延が明らかとなり,国内外の他の打ち上げ機会の調査を開始すると共に一部の開発資金の繰り越しを行った。幸い有望な打ち上げ機会が見つかってきており,今後,選定を進めてゆく。科研費以外の複数の大型資金の獲得にも成功した。これは本研究の追い風となる。さらにハードウェア開発の共有と議論およびサイエンスの深化のために,国内外の著名な研究者が参加する研究会も開催し盛況であった。関連成果は着実に発表して,受賞も頂いてきている。 すなわち打ち上げロケットの遅延という想定外の事態があったものの,それを迅速にリカバーしつつあり,ハードウェア・サイエンス両面において当初期待した通りの成果が得られている。よって概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
観測装置及び衛星の開発及びサイエンス検討は順調に推移している。よって活動を継続して,フライトモデルの開発体制を着々と整えて打ち上げに向かう。衛星の打ち上げ機会についてはJAXAとも協力しつつ調査を推し進め,信頼性の高い機会を選定した上で,ロケットに適合した観測装置及び衛星の開発を行う。幸いにして科研費以外の外部資金も得ており,国内の無償相乗りのみならず海外の有償のロケット打ち上げサービスも候補となる。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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