研究課題/領域番号 |
21H04978
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
長谷部 光泰 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 教授 (40237996)
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研究分担者 |
瀬上 紹嗣 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 助教 (00765935)
豊田 正嗣 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (90714402)
真野 弘明 基礎生物学研究所, 生物進化研究部門, 特任助教 (80376558)
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研究期間 (年度) |
2021-05-18 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
559,130千円 (直接経費: 430,100千円、間接経費: 129,030千円)
2024年度: 72,540千円 (直接経費: 55,800千円、間接経費: 16,740千円)
2023年度: 72,150千円 (直接経費: 55,500千円、間接経費: 16,650千円)
2022年度: 163,540千円 (直接経費: 125,800千円、間接経費: 37,740千円)
2021年度: 59,930千円 (直接経費: 46,100千円、間接経費: 13,830千円)
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キーワード | 活動電位 / カルシウム波 / ハエトリソウ / オジギソウ / モウセンゴケ / カルシウムシグナル / 食虫植物 / カルシウムイオンシグナル |
研究開始時の研究の概要 |
植物には神経が無いが、動物の神経と同じように活動電位と呼ばれる電気信号が知られている。しかし、従来の研究材料では研究が難しく、どのように電気信号が発生し、伝わっていくかの仕組みはわかっていなかった。本研究では、活動電位を研究しやすい、食虫植物のモウセンゴケ、ハエトリソウ、ムジナモ、お辞儀運動をするオジギソウを用いて、活動電位発生伝搬の仕組みの基盤を明らかにするとともに、その進化を推定することを目的とする。
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研究実績の概要 |
1)形質転換実験体制の確立:すべての種について、1週間に1遺伝子(年間約40 遺伝子)の形質転換ができるような形質転換パイプラインを確立した。 2)センサーラインの作成:モウセンゴケのカルシウムイオンセンサータンパク質R-GECO発現株を作出した。触毛先端への接触刺激、触毛切断による障害刺激で異なった速度と伝播経路のカルシウムイオン波が誘導されることを発見した。触毛運動に関わる可能性があるオーキシンの局在検出のため、DR5v2:GUS、R2D2を導入した形質転換株を作出開始した。細胞内pHを調べるため、pHRed、pHusion、pH-lemonを発現させる形質転換株を作成開始した。 ハエトリソウについても、pHRedとGCaMP6fを同時発現させるコンストラクトの導入、オーキシンとpHセンサーの形質転換実験を開始した。 3)チャネルロドプシンを用いた実験系の構築:モウセンゴケ、ハエトリソウにおいて、カルシウムイオン等の陽イオン透過チャネルとしてC1V1とXXM、塩化物イオンなどの陰イオン透過チャネルとしてACR1をモウセンゴケに導入する形質転換実験を開始した。 4)活動電位発生伝搬関連因子候補の探索:[オジギソウ]ASLOB機能喪失体と野生型との比較トランスクリプトーム解析からASLOBによって転写制御される因子を探索し、ROSシグナルに関わる因子など、活動電位発生伝搬関連因子を特定した。[ハエトリソウ]従来の研究から、ハエトリソウの感覚毛で高発現することが報告されている7イオン透過チャネル遺伝子の遺伝子破壊用コンストラクト作成を開始した。精度の高いゲノム配列を得るため、Sequel IIeシステムによりリシーケンスを開始した。[モウセンゴケ]比較トランスクリプトーム、単一細胞トランスクリプトームを行い、候補遺伝子の探索を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の想定に反し、チャネルロドプシンがモウセンゴケで細胞膜に局在しないことがわかり、プロモーター配列を改変して発現量を調節するなどの実験を行っている。それ以外の実験は想定通りに進行した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に加え、ハエトリソウよりも細胞レベルで研究がしやすいムジナモを用いる可能性を模索して、形質転換実験系の確立に取り組んだが、うまくいかなかったので、当初計画どおりにモウセンゴケ、ハエトリソウ、オジギソウの3種に絞って、予定どおり研究を進める。
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