研究課題/領域番号 |
21H04982
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分A
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
赤林 英夫 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90296731)
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研究分担者 |
稲葉 昭英 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30213119)
竹ノ下 弘久 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (10402231)
直井 道生 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (70365477)
井深 陽子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20612279)
栗野 盛光 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90732313)
川本 哲也 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (40794897)
敷島 千鶴 帝京大学, 文学部, 教授 (00572116)
佐野 晋平 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (80452481)
野崎 華世 大阪経済大学, 経済学部, 准教授 (40588927)
加藤 承彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 社会医学研究部, 室長 (10711369)
中村 亮介 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (50759272)
田村 輝之 東海大学, 政治経済学部, 特任准教授 (80635037)
島田 夏美 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 助教 (00897879)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
189,670千円 (直接経費: 145,900千円、間接経費: 43,770千円)
2024年度: 37,440千円 (直接経費: 28,800千円、間接経費: 8,640千円)
2023年度: 37,440千円 (直接経費: 28,800千円、間接経費: 8,640千円)
2022年度: 33,800千円 (直接経費: 26,000千円、間接経費: 7,800千円)
2021年度: 47,190千円 (直接経費: 36,300千円、間接経費: 10,890千円)
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キーワード | 教育格差 / 遠隔調査と実験 / 国際比較 / 新型コロナパンデミック / 教育経済学 / オンライン調査 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナパンデミックは、子供の教育格差研究に対し、取り組むべき課題と研究手法との双方に、変革の必要性を迫っている。社会のオンライン化に伴い、家庭環境が子供に与える影響が強まることが懸念されている。また、教育格差拡大を防ぐために、世界各国で、新たな政策的対応の必要性が議論されている。そこで、本研究では、全国の子供を対象とし、オンラインにより、ポストコロナの新たな課題に対応した調査や実験による研究手法を考案する。それらを通じ、コロナ禍が子供の学力や日常生活に及ぼした影響を厳密に分析し、国際比較も行うことで、コロナ後の研究と政策のあり方を提示する。
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研究実績の概要 |
1.2021年度以降に抽出された対象世帯に対し、世帯の構成や所得等について尋ねる「世帯調査」、主な対象の子供の父親と母親の学歴・職業・子育て観等について調査(父親調査・母親調査)を2022年12月から2023年1月にかけて実施した。さらに、主な対象の子供とそのきょうだいに対し、それぞれの子供の就学・就園状況、子供の習い事、子供の行動等について保護者に尋ねる「親子調査」、小中学生の子供については子供自身が解答する(学力テスト含む)「子供調査」を2023年2月から3月にかけて実施した。 2.また、調査対象の子供のうち、同意を得た就学前年中から小学二年生の子供に対し、独自にオンライン認知能力テストを実施することができた。このテストは、言語、知覚、記憶の三能力について全く新たに開発したものであり、1300人近くの就学前年中から小学二年生の子供に実施することができた。これについては日本発達心理学会で報告を行った。 3.翌年度より実施予定の、オンライン経済実験、オンライン介入研究、活動記録コホート研究について、研究内容を確定すべく検討を行った。 4.調査対象の住所情報から通学区域となっている公立小中学校の候補を作成した。また、調査回答用紙の読み込みのためのFormOCRの導入準備を行った。また、オンライン調査のためのSurveyMonkeyの導入と活用を開始した。また、国の統計調査の申請利用を始めるとともに、利用した分析を開始した。 5.複数の論文を国際学会等で発表するとともに、国際学術誌に発表もしくは投稿を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、おおむね、当初の計画通りに研究が進んでいると考えているが、①ベースライン調査の実施が遅れたこと、協力率が想定よりも低いこと、②子供向けの学力テストの採点の自動化はできていないこと、③介入実験のための動画作成の協力者が確定していないこと、などが、やや遅れの原因となっている。しかし、これらは、研究計画の実施を、技術面、倫理面、研究の質の確保の観点から研究計画を慎重に再検討しながら進めたことの帰結であり、研究自体は進展している。また、就学前年中から小学校二年生までの子供向けのオンライン認知能力テストの開発など、申請当初想定していなかった部分で大きな成果を上げつつあり、一部の遅れを補っている。そのため、今後も引き続き、研究上のリスクや困難に慎重に対処していけば、全体としてはよい研究成果を上げられると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.一般コホート:調査対象者から回収された回答用紙・調査票をPDF化、OCR技術などを利用してデータ化・クリーニングを行う。学力テストについては外部業者と連携して採点作業を行い、テストスコアの標準化を行う。さらに地域ID・学校IDなどを付加し、別に用意した地域データ・学校データ(国の統計データで利用申請済の調査票データを含む)との接合を行い、個人情報を削除した研究用データを作成する。また、サンプルウェイトを作成し、一般コホートデータのみで実施可能な分析を開始する。 2.活動記録コホート:調査対象学年と調査内容を確定し、適切なタイミングで調査依頼を行い、子供と保護者から、活動記録情報を収集し、データ化を行う。 3.介入コホート:調査対象学年と調査内容、動画介入のための協力者を確定し、介入素材決定、動画作成を行い、早ければ年度内に介入実験を開始する。 4.経済実験コホート:調査対象学年と調査内容を確定し、現在出ているアイデア(意思決定手順と非認知的行動の関係)の内の1つについて、年度内に先行して実施する。 5.その他:2022年度までに収集したオンライン認知テストデータの分析を開始し、学力テストデータとの接合と標準化を行う。 既存のデータを利用した個別課題の推進の一環として、日本子どもパネル調査の整備を継続する。また、これまでに利用許可を得た公的統計の調査票データの分析を行い、必要に応じて、21世紀出生児縦断調査などの未申請の統計データ、申請済みの統計の新しく追加された年度のデータなどの追加申請を行う。また、随時、国内外の学会で報告し、必要に応じて、共同研究者を海外から招聘する。国際共同研究も積極的に進める。さらに調査対象者とのコミュニケーション推進のため、調査参加者向けマイページを通じた情報発信を行う。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A-: 研究領域の設定目的に照らして、概ね期待どおりの進展が認められるが、一部に遅れが認められる
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