研究課題/領域番号 |
21H04995
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分B
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南條 創 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (40419445)
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研究分担者 |
野村 正 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10283582)
松村 徹 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 准教授 (00545957)
田島 靖久 山形大学, 学士課程基盤教育院, 教授 (50311577)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
185,510千円 (直接経費: 142,700千円、間接経費: 42,810千円)
2024年度: 27,820千円 (直接経費: 21,400千円、間接経費: 6,420千円)
2023年度: 40,560千円 (直接経費: 31,200千円、間接経費: 9,360千円)
2022年度: 37,830千円 (直接経費: 29,100千円、間接経費: 8,730千円)
2021年度: 61,880千円 (直接経費: 47,600千円、間接経費: 14,280千円)
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キーワード | フレーバ物理 / K中間子稀崩壊 / 物質宇宙の起源 / CPの破れ / 稀崩壊 / 物質優勢宇宙の謎 / CP対称性の破れ / 中性K中間子の稀崩壊 |
研究開始時の研究の概要 |
“なぜ宇宙が物質ばかりで、反物質がほとんどないのか”という謎を解明する素粒子の新しい物理を探索します。現在最も信頼できる素粒子標準理論でもこの物質優勢宇宙は説明できず、別の新しい機構が必要とされています。この解明を目指し、粒子反粒子の対称性を破る中性K中間子の崩壊を探索します。我々はこの目的でJ-PARC加速器を用いてKOTO実験を推進し、すでに世界最高感度に到達しています。本研究計画では、実験装置を改良し、新たにわかった背景事象を削減し、実験感度を1桁向上することで、新物理に迫ります。
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研究実績の概要 |
KOTO実験では、物質ばかりの宇宙のなぞに迫るべく、中性K中間子のCPを破る崩壊を探索している。この主要な背景事象に、荷電K中間子の崩壊があることがわかったので、この削減に取り組んでいる。荷電K中間子を検出して事象を排除するためには、中性ビーム中に荷電粒子検出器を設置する必要がある。中性粒子が散 乱されると別の背景事象が増えるので、低物質量ながら、高感度の荷電粒子検出器が必要である。このため、厚さ0.2mmのプラスチックシンチレータを用いた超低物質量荷電粒子検出器を考案した。2022年度は、この低物質量荷電粒子検出器の実機を制作した。電子ビームを用いて、最小電離損失ピークに対し光量20光電子数を得た。この1/3の閾値に対して不感率0.04%を得た。時間分解能は1nsであった。16cm角領域全体で得られた光量も10%以内で一様であった。また、可動式トリガーカウンタを準備し、KOTO実験に導入した際の較正に備えた。さらに、磁石により荷電K 中間子をビームの外へ排除する。1Tの永久磁石と磁場戻し鉄を合わせて組み立て、磁石を完成させた。磁場測定も行い、所期の1Tに迫る磁場を確認した。また、2022年度に加速器増強を終え、より高いビーム強度によ る実験を行う予定であり、それに合わせてKOTO実験のデータ収集システムを更新する。データ収集では光ファイバー通信により40Gbpsの速度でデータを送る。これを6台のPCで受信し、CPUとGPUを用いて、データの圧縮、データ解析による事象選択を行う。そののち、後段の1台のPCに一時データを保存し、KEKに送信する。このシステムを実際にJ-PARCに構築し、試験と運用を行なった。また2021年に取得したデータの解析を進め、荷電K中間子背景事象を含む背景事象の評価を進めた。大阪大学でK中間子国際会議を開催し成果を共有した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
荷電中間子背景事象の削減に向け、ビーム中荷電粒子検出器の開発と高速データ取得システムは予定通り2022年度に完成した。磁石の開発は計画以上に進展した。一方で、J-PARCでのビームデータの取得は加速器側のトラブルにより2022年度には行うことができなかった。2023年度に、上記のアップグレードと加速器の増強を合わせて成果を創出したい。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に取得したデータの解析を進め、2023年度にはブラインド領域の内部を解析し、結果を出す。この解析の中で、新たな問題があれば、今後の方策にフィードバックする。2022年度では加速器の調整が間に合わず、J-PARCでのデータ収集ができなかった。2023年度にデータ収集を行い、実際のビーム環境での検出器とデータ読み出しシステムの性能を評価する。この結果をさらに今後の方策にフィードバックする。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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