研究課題/領域番号 |
21H05001
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分C
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
越村 俊一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (50360847)
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研究分担者 |
江川 新一 東北大学, 災害科学国際研究所, 教授 (00270679)
久保 達彦 広島大学, 医系科学研究科(医), 教授 (00446121)
近藤 久禎 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター), その他, DMAT事務局次長 (20332348)
マス エリック 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (30648374)
小林 広明 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (40205480)
金谷 泰宏 東海大学, 医学部, 教授 (40506317)
太田 雄策 東北大学, 理学研究科, 准教授 (50451513)
市川 学 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (60553873)
柴崎 亮介 麗澤大学, 未登録, 教授 (70206126)
佐々木 宏之 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (90625097)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
188,630千円 (直接経費: 145,100千円、間接経費: 43,530千円)
2024年度: 36,790千円 (直接経費: 28,300千円、間接経費: 8,490千円)
2023年度: 36,270千円 (直接経費: 27,900千円、間接経費: 8,370千円)
2022年度: 37,180千円 (直接経費: 28,600千円、間接経費: 8,580千円)
2021年度: 42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
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キーワード | デジタルツイン / 津波 / 災害医療 / ジオインフォマティクス / シミュレーション / 津波災害 / ジオンフィマティクス / マルチエージェントシミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
リアルタイムシミュレーション,センシングの融合による広域被害把握,被災地内外の人の移動と社会動態把握,医療需要および被災地の医療活動状況を入力としたマルチエージェントシミュレーションで構成する仮想世界でのwhat-ifの分析を通じて,物理世界となる被災地での災害医療チームの活動を支援するための「災害医療デジタルツイン」を構築する.災害医療の最前線で活動する研究者との協働を通じて,南海トラフ連続地震により連続して来襲する津波のリスク下において,医療システムの一部の機能が一定期間低下しても,被災地内外の災害医療の機能を速やかに回復できる医療レジリエンスの再構築を先導する.
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研究実績の概要 |
災害医療デジタルツインと医療レジリエンス指標の定量化の手法について検討するとともに,以下の要素課題に取り組んだ. 南海トラフの一部が先発地震として破壊され,その後に割れ残り域が破壊する場合を考える.南海トラフの多様な破壊形態に着目した短期津波浸水確率予測手法に基づき,津波浸水確率マップを作成した.津波浸水確率マップは,高知県等でのヒアリングを通じて,その活用方策を検討した.次に,陸域の地殻変動観測データと津波初期水位分布の機械学習に取り組んだ.具体的には,GEONET観測点での地殻変動データのアンサンブル学習から初期水位分布をリアルタイムで推定する手法を検討した. 津波浸水による曝露情報の推定手法の高度化に取り組んだ.具体的には,毎時に得られる動的な人口統計データの時系列解析を行い,平常時,災害時等の人口動態の特性把握の手法を検討し,人口流動の短期予測の基となるデータ同化手法の検討を行った. 災害医療マルチエージェントシステムの構築を進捗させた.実証フィールドである高知県の医療圏を想定し,津波災害時の医療活動のエージェントシミュレーションのアルゴリズム検討を行った.医療施設の健全性評価,津波浸水被害に対する医療需要予測,DMATの災害医療支援活動の行動原則についてコーディングを行い,マルチエージェントシミュレーションの入力となる医療情報の読み込み方法を検討した. 物理世界と仮想世界を結ぶ災害医療デジタルツインの設計を行った.現実世界で流通するデータ・情報の「ツイン」の作成方法,取得されるデータの質と構造に基づく可視化方法,多様なシミュレーション群とデータの統合解析を行いその結果を出力するための方法を検討し,プロトタイプシステムの設計に着手した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
世界初のスーパーコンピューターの災害時運用によるリアルタイム津波浸水被害予測技術を核に,「デジタルツイン」という新しい概念を導入して,新規性の高い研究に取り組んでいる.デジタルツインに関連した理学・工学・医学の連携研究は世界でも類がなく,研究成果の国際的な波及力も高い.
学術研究と社会実装の両輪で研究活動を推進しており,得られた成果をすぐに社会に活用できる体制を構築している.国や自治体,民間事業者との産官学連携も推進し,実践的な研究成果を創出している. 複数の学術賞,産学連携に関連した賞を受賞しており,客観的な高い評価も得ている.土木学会の重点研究課題に採択されるなど,関連する学術分野の発展に貢献している.
研究計画立案時には想定していなかったが,代表者が所属する東北大学がNTTドコモとの包括連携協定を締結したことにより,全国規模の1時間毎の推計人口のデータを準リアルタイムで受領できることになり,災害時の社会動態把握に関する研究のレベルとその意義・波及効果が格段に向上した.リアルタイム津波浸水被害予測システムがNation-wideなシステムとして構築できたこと,全国のモバイル空間統計が得られることで,本技術のユーザが広がり,地域を超えた連携が可能になった.また,2022年3月に東北大学が防災科学技術研究所と連携協定を結んだことで,防災科研のSIP4Dの研究チームとの連携を開始した.これにより多面的な連携が可能になった.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり,理学・工学・医学の連携を更に強化し,最終目標である災害医療デジタルツインの構築と活用に向けて,これまでの2年間で構築した要素技術の統合を図る.
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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