研究課題/領域番号 |
21H05007
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分C
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
深潟 康二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (80361517)
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研究分担者 |
山本 誠 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (20230584)
岩本 薫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50408712)
長谷川 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30396783)
塚原 隆裕 東京理科大学, 創域理工学部機械航空宇宙工学科, 教授 (60516186)
福島 直哉 東海大学, 工学部, 准教授 (80585240)
守 裕也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (80706383)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
194,090千円 (直接経費: 149,300千円、間接経費: 44,790千円)
2024年度: 17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2023年度: 17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2022年度: 59,020千円 (直接経費: 45,400千円、間接経費: 13,620千円)
2021年度: 82,550千円 (直接経費: 63,500千円、間接経費: 19,050千円)
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キーワード | 流体力学 / 機械学習 / 流れの制御 / 低次元モデル / データ駆動 |
研究開始時の研究の概要 |
流れの制御に機械学習を用いることにより,新たな流れの制御手法構築の方法論を提案する.具体的には,畳込みニューラルネットワークに基づくオートエンコーダを流れ場の非線形低次元モード抽出のための中核技術として用い,低次元化されたシステムに対してスパース回帰法などを用いてそのダイナミクスを記述し,その低次元ダイナミクスに対して現代制御理論などを適用することにより制御則を構築する.これにより従来よりも効果的な機械学習に基づく非線形なモデルベース制御手法構築の方法論を確立する.
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研究実績の概要 |
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)オートエンコーダを用いた次元削減による制御則に関しては、昨年度提案した手法に軌道の成長率を学習パラメータとして取り入れた新たなモデルにより、制御を含む2次元円柱周り流れを2次元の潜在変数空間で表現することに成功し、物理空間においても渦放出を抑制できることが直接数値シミュレーションによっても確認できた(Ishize et al., 2023)。関連して、乱流の速度の時系列データが持つ決定論的カオスと軌道不安定に基づく非線形予測可能性を調査した(Mamori et al., 2023)。また、別のアプローチとして、流れ場と最適制御入力の関係性を機械学習を用いて抽出し、これを実際に流れに付与することにより抵抗低減効果を確認した(Yugeta et al., 2023)。また、最適制御のコスト関数を機械学習によって生成し、有効な制御則の開発を試みた(Yugeta and Hasegawa, 2023)。さらに、円管内脈動乱流における抵抗低減制御に関する深層学習モデルを提案した(Matsubara et al., 2023)。強化学習を用いた制御に関しては、壁近傍の渦構造に着目した強化学習モデルの提案や、瞬時の流れ場情報に基づく新しいフィードバック制御則の発見(Sonoda et al., 2023)などを行った。限られた情報からの場の推定に関しては、CNNを用いたスカラ乱流拡散の時間推定における推定限界の調査(Tsukahara et al., 2023)や、2次元データからの3次元速度場の推定(Matsuo et al., 2024)に取り組んだ。応用に向けた研究としては、新設した風洞を用いた円柱周り流れの受動制御(廣田ら,2024)や、航空機着氷予測における着氷離脱モデルの開発を行った(Hirose et al., 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.CNNオートエンコーダを用いた次元削減による制御則に関して、基本となる手法が少なくとも潜在変数空間が2次元で表現できる流れに対して十分に確立できたため。 2.強化学習を用いた乱流抵抗低減制御において十分な制御効果が検証できたことに加え、コスト関数の発見という新たな道筋が示されたため。 3.決定論的カオスと軌道不安定に基づく非線形予測可能性といった、目標達成のための新たな理論的研究が一定の成果を収めているため。 4.限られたセンサ情報からの流れ場の推定においても、より複雑な流れに対する応用が進んでいるため。 5.非ニュートン流や混相流など、より複雑な流れへの適用や実応用を見据えた要素研究も順調に進んでいるため。 6.新設風洞の基本特性の評価が終了し、これを用いた受動制御の実験的研究も進展し、最終目標である実験的検証への目途も立ったため。
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今後の研究の推進方策 |
2021~2022年度は上述の要素研究を重点的に進め、2023年度は要素研究のうちさらに改善の必要があるものに関しては引き続き進め、並行して最終目標に向けてベースラインとなる流れの風洞実験を行った。2024年度、CNNオートエンコーダを用いた次元削減による制御則に関しては、より高い次元の潜在空間を持つ流れに対する基本的な検討として、Linear Systems Extracting Autoencoder (LEAE)の常微分方程式レイヤーを多層パーセプトロンで置き換えたモデルを用いてミニマルチャネル乱流(潜在変数の次元は1000のオーダー)での適用可能性の基本調査を行う。また、強化学習に関してもより多様な制御への応用を進める。さらに、円柱周り流れや壁に沿う乱流などのカノニカルな流れに対する機械学習ベース制御の風洞実験・水槽実験を用いた実験的実証のための要素デバイスの開発を行う。最終年度には実証実験を行い、一連の成果に基づき産業応用への可能性を見極め、流れ制御手法構築の方法論を確立する。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A-: 研究領域の設定目的に照らして、概ね期待どおりの進展が認められるが、一部に遅れが認められる
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