研究課題/領域番号 |
21H05014
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分D
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
美濃島 薫 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (20358112)
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研究分担者 |
浅原 彰文 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (00770091)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
188,110千円 (直接経費: 144,700千円、間接経費: 43,410千円)
2024年度: 36,660千円 (直接経費: 28,200千円、間接経費: 8,460千円)
2023年度: 43,420千円 (直接経費: 33,400千円、間接経費: 10,020千円)
2022年度: 46,280千円 (直接経費: 35,600千円、間接経費: 10,680千円)
2021年度: 35,230千円 (直接経費: 27,100千円、間接経費: 8,130千円)
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キーワード | 光周波数コム / デュアルコム分光 / 光位相制御 / 多次元分光 / 中赤外 / 分光特性装置 / 時間空間特性 / 分光特性評価 / 時間・空間特性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、多様な物質・材料・デバイスの特性を、直接、高速・高精度・広範囲・マルチモーダルに取得できる分光技術を創出するものである。そのために、近年進展の著しい光波の高精度かつ自在な制御・操作技術を導入し、光パルスの電場応答を完全解析することで、光伝搬そのものから『光に刻み込まれた情報を取り出す』という発想に基づき、物質情報を直接取り出す革新的分光技術原理を実現して、「物質・材料における血液検査」のようなファーストステップ評価技術となる包括的な学理の確立を行うことをめざす研究である。
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研究実績の概要 |
まず、昨年度に作成した中赤外光源を高度化し、中赤外デュアルコム分光用の光源開発を行った。双方向型デュアルコムレーザーの2つの近赤外光コム出力に対して、デュアルコムのコヒーレンス向上に向けて、共振器の耐環境安定性を高め、周波数標準に同期させて光コムに光周波数絶対値を付与した。一体型共振器において2台の光コムが受動安定化される利点を生かし、簡単なピエゾ素子を光ファイバに貼り付けるだけの繰り返し周波数の制御を付加することにより、周波数標準に同期させた高精度な周波数絶対測定が可能となるとともに、積算によるSN比向上が可能になった。これにより、低圧のN2Oガスセルを試料として、HITRANデータベースの値と吸収線幅内で一致する吸収線測定が実現された。 また、実績のある従来型の独立型近赤外ファイバコムを高度化して、高非線形ファイバと導波路型非線形結晶を可視光発生に最適化して用いることによって、環境安定性の高いインライン・ファイバ型構成によって、波長450~820 nmにおよぶ広帯域光コムを発生した。さらに、実際にデュアルコム分光計を構築し、高コヒーレントなデュアルコム信号が検出されることを確認した。さらに、一体型共振器自体を発展させ、近赤外域においてトライコム光源の開発を行った。 さらに、光コムの位相制御性を活用した光パルスの電場波形の操作・検出手法の開発にも取り組み、動的な信号波形変調による偏光変調分光法に基づく、デュアルコム分光に適した高感度測定手法を実現した。 光コムの特徴を生かしたマルチ分光技術の基礎として、開発した広帯域光源による中赤外域・可視域の固体分光測定や、高速円偏光変調分光の有効性を示した。さらに、空間特性に敏感な物性情報の取得に向けた第一歩として、メタマテリアルを採用してデュアルコム分光による評価法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、光源開発においては中赤外光コムの高度化と周波数絶対値付与、デュアルコム分光のSN向上を目標にしていた。それに対し、これらの目標を達成したことに加え、可視光領域においても高コヒーレンスの広帯域光コムの発生を示し、実際にデュアルコム信号を検出した。さらに、このデュアルコム光源の成功をもとに、既に、一体型共振器によるトライコム光源の原理の動作を示すところまで進めることができた。 さらに、時間・空間情報の取得に向けた手法の検討を計画していたが、実際に、光コムの位相制御を利用した円偏光の高速変調原理の実証や、トライコム信号の検出、空間特性に敏感な物性評価法の第一歩としてメタマテリアルを試料としたスペクトル取得までの実証を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、各研究項目を実施すると同時に、それらの融合と統合を図り、本研究の分光技術の特徴を生かした応用に適した試料を探索しながら、技術の有効性を示していく。 開発した中赤外域、および可視域光源において、さらなる高度化を行うと同時に、一体型トライコム共振器においても、高コヒーレントな広帯域化を進める。光コム光源のコヒーレント制御法の分光応用を進め、変調分光の適用性を拡大するとともに、動的な分光制御技術に発展させる。 開発した光源と分光特性制御技術の成果を融合させて、広帯域性、変調分光の利用、時間と空間特性の測定手法を高度化し、手法の有効性を示していく。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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