研究課題/領域番号 |
21H05034
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分F
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
馬 建鋒 岡山大学, 資源植物科学研究所, 教授 (80260389)
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研究分担者 |
山地 直樹 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (00444646)
宮地 孝明 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 研究教授 (40550314)
三谷 奈見季 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (40581020)
菅 倫寛 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (60634920)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
189,280千円 (直接経費: 145,600千円、間接経費: 43,680千円)
2024年度: 35,750千円 (直接経費: 27,500千円、間接経費: 8,250千円)
2023年度: 36,270千円 (直接経費: 27,900千円、間接経費: 8,370千円)
2022年度: 37,310千円 (直接経費: 28,700千円、間接経費: 8,610千円)
2021年度: 45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
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キーワード | 環境変動 / ミネラル輸送 / イネ / 可塑性 / トランスポーター / 制御 / 根 |
研究開始時の研究の概要 |
地球規模の気候変動により、土壌の水分状態が大きく変動するため、作物の生育に欠かせない土壌中の養分濃度や化学形態が激しく変化している。また過度の施肥により、土壌の酸性化が進み、作物の生育を阻害する有害金属が溶出してしまい、作物の生産性や安全性において大きな問題となっている。本研究は主に”水陸両用”のイネを用いて、土壌ミネラル環境変動に可塑的に対応する植物の輸送システムを分子レベルで解明し、将来環境変動に適応できる環境応答型作物の作出に寄与する。
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研究実績の概要 |
SIET4は葉の表面やケイ化機動細胞へとケイ素を排出する役割を持つことを解明した。SIET4はケイ素が蓄積する葉の表皮細胞とケイ化機動細胞の隣の細胞に局在する。SIET4 遺伝子を破壊すると、ケイ素ある条件下で栽培した場合は、生育が著しく抑制され、最後は死に至った。またOsOPT7が、OsOPT7は節や葉鞘において導管から二価鉄イオンをアンローディングする役割を明らかにした。プロテオリポソームを用いた解析により、OsOPT7は二価鉄イオン(Fe2+)をプロトンとの共輸送によって細胞内に取り込む輸送活性がみられた。OsOPT7は節の肥大維管束木部柔細胞や葉鞘の維管束柔細胞などに局在し、鉄欠乏条件下で発現が増加した。遺伝子発現抑制株では、新葉や穂への鉄分配が減少し、また葉鞘組織への鉄の分配も減少した。そのほか、イネ葉鞘と葉身間のマンガン分配に必要な輸送体OsNramp5、種子へのカルシム集積に関与する輸送体K5.2等の機能を解明した。 ミネラル環境応答シグナル因子を同定しるために、レーザー彫刻機とデジタルマイクロスコープを用いてDIYインセクトレーザー装置を開発し、イネの篩管液の採取が可能になった。ウエスタン解析やプロテオーム解析によって、ケイ素欠乏条件のイネ篩管液から、ケイ素吸収を制御する長距離シグナルタンパク質であるSSSを検出した。またCo-IPの手法を用いてこのタンパク質と複合体を形成するパートナーの探索を試みた。その結果、転写活性があり、一過性発現の実験系においてはケイ酸輸送体Lsi1の転写を負に制御する因子を単離した。 クライオ電子顕微鏡を用いてマンガン輸送体の立体構造を高分解能で解析した。マンガン輸送体について、基質の結合していない状態、マンガン基質が結合した状態、カドミウム基質が結合した状態の3つの立体構造を比較して、基質の選択に重要なアミノ酸残基の候補を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定より多くの輸送体を同定し、いくつかの発見をトップジャーナルに発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
共同研究者と緊密に連携して、引き続き新規植物ミネラル輸送体の同定と機能解析、環境応答機構の解明、シグナル因子の同定、結晶構造解析などを行う。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A+: 研究領域の設定目的に照らして、期待以上の進展が認められる
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