研究課題/領域番号 |
21H05047
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分I
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江藤 浩之 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50286986)
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研究分担者 |
中村 壮 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点講師 (50769833)
末次 志郎 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70345031)
杉本 直志 京都大学, iPS細胞研究所, 特定拠点准教授 (10447956)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
188,890千円 (直接経費: 145,300千円、間接経費: 43,590千円)
2024年度: 34,840千円 (直接経費: 26,800千円、間接経費: 8,040千円)
2023年度: 34,840千円 (直接経費: 26,800千円、間接経費: 8,040千円)
2022年度: 44,070千円 (直接経費: 33,900千円、間接経費: 10,170千円)
2021年度: 42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
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キーワード | 造血システム / 血小板 / 乱流 / バイオリアクター / iPS細胞 / 脂質膜 / 巨核球 / 培養槽 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトiPS細胞由来巨核球からの人工血小板の製造システムを活用し、血小板産生場であるヒト巨核球の脂質二重膜が乱流シグナルを通じて時空間的に多様的・不均一に再構成され、最終的に脂質二重膜が切断されるまでの複雑な血小板産生分子メカニズムを理解する。具体的には、巨核球の成熟多様性における物理刺激の複数のセンシング受容体の使い分け機構や、血小板活性化機能を保持したまま脂質膜の切断が行われる精巧な分子機構を明らかにして新しい造血概念を提唱し、見出した新知見を活用することで産生効率を飛躍的に向上させた人工血小板製造の新規培養システムを開発する。
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研究実績の概要 |
京大チームでは、血小板産生に至る巨核球成熟後期の段階で、乱流刺激は、巨核球細胞質、血小板産生場であるDMS(demarcation membrane system)領域へのミトコンドリア 分配に必須な物理刺激であることを明らかにした。分配阻害が起きると、ミトコンドリア 膜電位が低下、ATP産生量が少ない血小板が産生され、血小板膜上のphosphatidylserine発現が高まり、ADAM17活性化によるGPIbα (von Willebrand factor受容体: CD42b)の細胞外ドメイン切断が促進されることを明らかにした。つまり、乱流のセンサーそのものの同定は依然成功していないが、分子機構として、高品質な人工血小板が製造可能かのメカニズムの一端が明らかになった。さらに、ミトコンドリアの分配の前提となるミトコンドリアのリサイクル過程では、不要となったミトコンドリア自体が断片化されて、細胞外に放出されることを見出したが、その過程でミトコンドリアに存在するタンパク質が断片化と同時に細胞質および、巨核球外に放出されることで、そのタンパク質に巨核球の脂質膜切断活性があることで、血小板産生を担う可能性を見出した。奈良チームは、複数の脂質膜切断タンパクに関し、人工脂質膜(リポソーム)を用いてその膜変形能力、膜切断活性を試験管内で検証し、候補タンパクを絞り込みを行い、有望な新規脂質膜切断活性を持つタンパク質候補を得た。このタンパク質の脂質膜に対する相互作用が減弱していると推定できる変異体を巨核球細胞株に発現させたところ、血小板前駆体の形成が減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乱流センシングの受容体検索研究から、乱流刺激後の重要な細胞内分子機構解明に変更した結果、ミトコンドリアリサイクリング、ミトコンドリアとマイトファジー機構の関与、ミトコンドリア活性と血小板品質、アクチン再構成・チュブリン細胞骨格の関与に関する分子機構解明が少しずつ明らかになってきている。概要で説明した成熟巨核球の脂質膜切断候補タンパク質について、リコンビナントタンパク質を生成することに成功した。このタンパク質を試験管内で人工脂質膜と反応させたところ、その脂質膜結合を観察することができた。さらに、人工脂質膜の大きさが、小さくなる現象が観察され、リコンビナントタンパク質は脂質膜切断活性を有していることが推定された。アルファフォールドを用いた立体構造予測から、脂質膜と候補タンパク質の相互作用様式を推定したところ、脂質分子を分解するリパーゼ活性を持つ可能性と、脂質膜に対するタンパク質の挿入や鋳型作用により、脂質膜の小胞化を担う可能性が示唆された。共同研究により、脂質分子の質量分析を行ったところ、リパーゼ活性は、観察できなかった。次に、鋳型作用などを担うと推定し、その候補となるアミノ酸の変異を導入したところ、いくつかの脂質膜相互作用が推定されるアミノ酸を得た。また候補タンパク質が脂質膜と相互作用する様子を光学顕微鏡によって観察することにも成功した。また、この変異体を巨核球に発現させたところ、血小板前駆体の形成が減少した。
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今後の研究の推進方策 |
候補タンパク質について、脂質膜と相互作用するアミノ酸をさらに決定していくことで、立体構造上の脂質膜との相互作用部位を決定する。このことによって、脂質膜と候補タンパク質の相互作用機構を確立する。さらに、脂質膜と候補タンパク質をそれぞれ蛍光ラベルし、顕微鏡かで観察することで、脂質膜の切断機序を明らかにする。 さらに、候補タンパク質の巨核球細胞株における局在を調査し、血小板形成における脂質膜の切断などの再構成が生じている細胞膜上での、箇所を同定する。その際に、候補タンパク質の既知の機能から示唆される、細胞内オルガネラとの相互作用や動態との関係に留意する。候補タンパク質の変異体を巨核球細胞株に発現することで、血小板形成における役割を明らかにする。 こうした分子機構の解明と並行して、血小板製造に応用した新規の培養槽の開発も進め、8Lの新規3枚翼培養槽のバリデーションを実施し、CFDシミュレーション結果との整合性を検証する。最終年度(2025)には、50L培養槽での高効率製造を可能とすることを目標とする)。
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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