研究課題/領域番号 |
21H05055
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研究種目 |
基盤研究(S)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
大区分J
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高西 淳夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50179462)
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研究分担者 |
石井 裕之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10398927)
橋本 健二 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (10449340)
川上 泰雄 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (60234027)
大谷 拓也 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70777987)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
189,800千円 (直接経費: 146,000千円、間接経費: 43,800千円)
2024年度: 25,480千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 5,880千円)
2023年度: 35,620千円 (直接経費: 27,400千円、間接経費: 8,220千円)
2022年度: 55,380千円 (直接経費: 42,600千円、間接経費: 12,780千円)
2021年度: 47,450千円 (直接経費: 36,500千円、間接経費: 10,950千円)
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キーワード | ロボティクス / ヒューマノイド / 関節弾性 / 脱力 / スポーツ科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,既存の人型ロボットのエネルギー効率が低いという問題を解決するため,人間の身体構造および運動を参考に,『ロボット身体内保存力学的エネルギー活用運動』およびそれに適した身体構造により全身運動時の消費エネルギー低減を目的とする.具体的には,力学的エネルギーの3形態変換を伴う消費エネルギー最小運動生成法を確立し,脱力・弾性の発揮が可能な高出力関節機構および動力伝達機構を用いた人間規範軽量四肢構造,これらを統合した等身大の人型ロボットを開発し,提案手法をロボット実機で評価する.さらに,『提案手法を人間に適用する効果の検証』,『運搬作業時のエネルギー効率向上』のような実用を想定した評価を行う.
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研究実績の概要 |
低エネルギー消費運動生成法については,開発したエネルギー最適運動生成法の実験検証を進めるとともに,ロボットが実施可能な幅広い範囲の運動の中から最適な運動を導くための改良を進めた.これまでに開発した手法では,ロボットは複数の関節の動きによって動作するためそれらの組み合わせである多関節運動は無限大に近い組合せが存在する.その中から目的に沿った最適な運動を導くには計算時間が膨大になってしまう.手法の改良によって,ロボットの運動空間を広く粗く設定しおおまかな最適運動を求めたあと,その運動周辺の空間を細分化し再度最適化をかける手法を開発した.これにより,ロボットが実行可能な広い動作範囲の中から低エネルギーなどの目標を満たす動作を生成することができた. 脱力も可能な関節機構開発については計画通り,これまでに開発した関節機構を搭載したロボットを用いて,低エネルギー消費運動生成法を用いた投球動作実験を行い,弾性や脱力を効果的に利用した動作のエネルギー効率の向上を評価した. 動力伝達機構・人間規範軽量四肢構造として,開発した軽量脚の跳躍実験を進めるとともに実験範囲を向上させるための強度・出力向上のための改良を進めた.また,腰部などにもトポロジー最適化設計技術を応用することで,人間の骨盤形状にも似た軽量高強度腰部を設計,製作した.また,開発した動力伝達機構を応用して開発した新型伸縮ロボットアーム機構については,機構としての課題であった伸縮力の不足を解決したことにより実地運用可能なアーム機構となった. スポ ーツフォームの違いによるエネルギー効率への影響検証については,引き続き,ロボット開発のための人体運動計測データ計測と並行して,開発したエネルギー最適運動生成手法を人間の身体パラメータに適用する検討を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた研究スケジュールについては,新型コロナウイルス感染症の広がりなどの影響により,実験装置・ロボット製作に必要な製作部品の材料調達,加工の納期が例年よりも遥かに長くなってしまったため,ロボット製作・検証は計画に対し,数か月の遅れが生じている.研究計画全体では,開発したロボットを用いた実験を今後進めていく計画であるが,ロボット全身の製作が遅れる分は研究計画調書にも記載した通り,製作できているロボット腕部や脚部,ロボットの事前検証に用意しているロボット計算シミュレータを用いて実験の準備・事前検証を進めることで,最終的な実験計画には大きな影響は無い. 一方,検討を進めていた動力伝達機構の仕組みを応用することで,農作業支援ロボットなどに搭載し既存のものに比べ高い伸縮比を実現する軽量ロボットアームの開発などに展開し,想定外の成果も得られている.
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今後の研究の推進方策 |
提案した手法を用いた全身型ロボットの開発を進めるとともに,投球動作や跳躍・走行動作の実験を進める.さらに,提案手法の応用として,重量物の運搬動作・上げ下ろし動作を生成しシミュレーションとロボットを用いて検証を進める.重量物を持ち上げる際には瞬発的に大きな力を発揮する必要があるが,低エネルギー消費運動生成法を用いることで,ロボットの各関節に負担の少ない運動を自律的に生成できる.被験者実験については,日本科学未来館内に確立した研究拠点を用いることで,多数の被験者を対象として実験を進める.
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評価記号 |
中間評価所見 (区分)
A: 研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる
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