研究課題/領域番号 |
21J10094
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02010:日本文学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮武 衛 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 和漢朗詠集 / 徒然草 / 和漢聯句 / 和漢比較 / 千載佳句 / 新撰朗詠集 |
研究開始時の研究の概要 |
日本人の中国文学受容の歴史のなかで、『和漢朗詠集』が果たした役割はまことに大きい。『和漢朗詠集』の成立(『千載佳句』との関係など)および享受の様相(古注釈をめぐる諸問題など)を検討する。また、『和漢朗詠集』についての考察を通じて、詞華集の生成・享受のあり方や、注釈のあり方について、新たな視角を提示する。さらに、日本・中国における思考や言語の差異を闡明する。
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研究実績の概要 |
論文「ちさとのほかまでながめたる――『徒然草』百三十七段――」、「永正十三年七月二十九日和漢聯句(初折)訳注」以下の和漢聯句の訳注は、昨年度までに行なってきた研究の成果を活字化したものである。 研究会での発表「月は青いか」は、上述の「ちさとのほかまでながめたる――『徒然草』百三十七段――」を承けたものである。百三十七段の「青みたるやうにて」は、「暁近くなりて待ち出でたる」月が、青い色を呈していることをいう表現として理解されている。しかしながら、同時代までの和文で月を「あを」と表現した例は認められない。当該の文の構造について再検討し、さらに『徒然草』における時間の認識とも関連させることで、月が若くなること、未熟なさまをいう時間表現と読むべきであることを述べた。 学会発表「『和漢朗詠集見聞』について」は、中世に成立した『和漢朗詠集』の注釈書に認められる注説をきっかけとして、『和漢朗詠集』所収の漢詩句の意味を検討しようと試みたものである。「酔はずんば黔中に争か去くことを得む、磨囲山の月正に蒼蒼たり」の「蒼蒼」について、現代の諸注釈では具体的に説明されないことが多い。けれどもこの「蒼蒼」という表現は、中国ではぼんやりとした、十分に明るくない月をいう際に用いられるのに対して、日本では明るい月、さらにいえば満月のことを表現する際に用いられる。よって『白氏文集』の原詩では「十分に明るくない月」の形容であるが、『和漢朗詠集』所収の漢詩句としては「明るい月」の形容と考えられる。これは『和漢朗詠集』における「月」が、例外なく明るい月であることとも齟齬しない。公任も「蒼蒼」を明るい月の形容として理解していたことが窺える。以上は『和漢朗詠集』所収の漢詩句の一例について解釈を検討したに過ぎないが、このような検討の集積は、『和漢朗詠集』という詞華集を理解するうえで肝要な作業であると考えている。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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