研究課題/領域番号 |
21J10526
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西岡 千尋 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | アリストテレス / 形而上学 / 写本伝承 / 古註 / イデア数 |
研究開始時の研究の概要 |
アリストテレスの『形而上学(メタフュシカ)』全十四巻のうち、比較的研究の遅れている最後の二巻(MN巻)の包括的な読解を目指す。両巻ではプラトンを含む初期アカデメイア派の学説(イデアと数学的対象)に対して、計画的かつ重厚な批判が展開される。この文書は内容の難解さとスキャンダラスな性格のゆえに、正面から取り組まれにくく、哲学的価値が正当に評価されてこなかった経緯がある。本研究では、学問間の横断性という視点から批判的議論の焦点を明らかにし、アリストテレスが引き受けた問題の大きさを再評価する。一次資料の状況と古代後期以降の受容を併せて調査し、両巻の全体像を捉えなおす。
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研究実績の概要 |
2022年度はアリストテレス『メタフュシカ(形而上学)』MN巻の研究を、①資料論、②受容史、③本文の哲学的理解の三点にわたって、以下のとおりに進めた。 ①資料論:前年度に確認した課題に基づいて、リール大学でE写本(Parisinus graecus 1853)の調査に従事した。また、前年度に調査したMN巻の本文伝承の問題について、第21回フィロロギカ研究集会で発表した。そのさい、前年度の観察に加えて、校訂史と正文批判の方法論的問題を整理し、『メタフュシカ』全巻の本文研究に対するMN巻研究の貢献のあり方を確認した。 ②受容史:二つの古註の精読を進めたが、①で言及した留学の影響により、読み切ることはできなかった。古代註解者の議論の細部については補完的な作業が必要である。また、二つの重要な先行研究の発見があった。一つはクセノクラテスが「プラトン主義の伝統」の形成に主導的な役割を果たしたというD. Sedleyの見解である。もう一つは、M巻のイデア数批判を数学史・論理学史に位置づける動向である。J. Kleinの古典的な研究(1934-36)が提起したこの視点は、近年、フッサール哲学への応答として再評価され始めている。 ③本文の哲学的理解:昨年度に続いて、MN巻の接続部とN巻3-6章を読解した。両巻の主題の転換がどの時点で、いかに起こるのかという問題は、古代後期から現代にいたるまで論争的である。接続部を精査するかぎり、両巻全体というより、その中央部(M巻6章~N巻4章)の主題の転換が起こっていると解釈するほうが妥当である。この転換はM巻9章後半からM巻10章におけるアポリアの組み換えにより、両巻の議論内容を架橋する形で行われる。N巻3-6章ではスペウシッポスの学説の批判的検討(4-5章)を介して、探究の焦点がプラトニストの数的原理から数的なものの原因性一般へと移ってゆく。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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