研究課題
特別研究員奨励費
地球を取り巻く宇宙空間(内部磁気圏)における最大規模の変動現象である磁気嵐時には、西向きの環電流が発達し、地球を取り巻く磁場環境が大きく乱れる。このとき、環電流はULF波動と呼ばれるmHz帯の電磁波動を励起させるが、その励起機構・空間分布についてはよく理解されていない。本研究では、内部磁気圏における環電流起源のULF波動の励起機構・励起条件を数値シミュレーションを用いて明らかにすることを目指す。また、モデルで得られた結果と衛星観測で得られた結果との比較を行うことで、モデルで励起されたULF波動の定量的な妥当性についても検証する。
地球近傍の宇宙空間(内部磁気圏)では、地球の双極子磁場が強く、様々なエネルギー帯の荷電粒子が捕捉されている。磁気圏で最大の変動現象である宇宙嵐時には西向きの環電流が発達し、地球の固有磁場が大きく変化する。このとき、環電流イオン(keV)によってULF波動というmHz帯の周波数を持つ電磁波動が励起されることがある。しかし、それらのULF波動の励起機構や空間分布については解明されていない。本研究の目的は、内部磁気圏における環電流イオンによるULF波動の励起機構・空間分布を明らかにすることである。令和4年度の研究では、主に交付申請書にある課題1「単純化した粒子注入下での環電流起源のULF波動の励起機構の解明」を行った。課題1では、内部磁気圏において電磁場と粒子の時間発展を自己無撞着に解く環電流モデル(GEMSIS-RC)と全球でポテンシャルを解く電離圏モデル(GEMSIS-POT)とを結合したモデルを用いた。結合されたモデルにおいて、夜側に粒子が注入された状態を初期条件として仮定し、数値計算を行った結果、環電流イオンにより2種類のULF波動が励起されることが分かった。この研究成果については国際学術誌に掲載された。また令和4年度では、背景密度を与える低温粒子の運動を解くモジュールを新たに開発し、密度勾配があるところの周辺でULF波動が励起されることがわかった。この研究成果については、論文にまとめ、国際学術誌に投稿した。交付申請書の課題2については、令和3年度から共同研究をすすめている段階で、今後観測されているULF波動をモデルで再現できるかどうか検証をしていく予定である。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Journal of Geophysical Research: Space Physics
巻: 127 号: 8
10.1029/2022ja030486