研究課題/領域番号 |
21J10883
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山口 美桜 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 乳癌 / 化学療法 / マクロファージ / HSP70 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍微小環境には多様な細胞が存在し、腫瘍に浸潤するマクロファージは液性因子を介して腫瘍の転移や浸潤を促進する。申請者は、乳癌組織を用いた免疫組織化学実験により、化学療法未施行症例と比較して、化学療法施行症例においてマクロファージの悪性形質が亢進していることを見出した。 そこで本研究では、化学療法に暴露された乳癌細胞が、マクロファージの悪性形質を促進する可能性を検証する。細胞間の情報伝達を媒介する物質としてエクソソームに着目し、エクソソームおよびその内包因子による乳癌細胞とマクロファージの相互作用を解析することで、乳癌における化学療法耐性機序とマクロファージの新たな一面を解明する。
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研究実績の概要 |
①昨年度は、化学療法誘導性エクソソーム内包Heat shock protein (HSP) 70が直接的にマクロファージの悪性形質を誘導する可能性および乳癌細胞のTransforming Growth Factor (TGF) -βの分泌を促進することを見出した。そこで、本年度は乳癌細胞の分泌するTGF-βがマクロファージに与える影響を検証した。THP-1由来マクロファージに、ヒト乳癌培養細胞の培養上清とともにTGF-β受容体の阻害剤であるガルニセルチブ(Galunisertib)を添加した結果、ガルニセルチブ未添加群と比較して、腫瘍促進型であるM2マクロファージマーカーのCD163、IL10およびMMP2のmRNA発現が有意に抑制された。さらに、このマクロファージの培養上清を添加した乳癌細胞は、ガルニセルチブ未添加群と比較して、細胞増殖能、遊走能および化学療法耐性能が有意に低下することを見出した。 ②昨年度は細胞外HSP70がマクロファージに与える影響を検討するために、HSP70を標的としたsiRNAを導入した乳癌細胞の培養上清をマクロファージまたは乳癌細胞に添加し、M2マクロファージへの分化および乳癌細胞のTGF-βの発現が抑制されることを見出した。一方、細胞内HSP70のノックダウンにより、多様な液性因子の発現が変化する可能性が考えられた。本年度は抗HSP70抗体を用いて乳癌細胞培養上清中におけるHSP70の中和実験を行い、前述の現象において確かにHSP70が作用していることを確認した。 以上より、化学療法誘導性エクソソーム内包HSP70が直接的に、または乳癌細胞のTGF-βの分泌を誘導することで間接的にマクロファージの腫瘍促進作用を誘導し、乳癌の化学療法耐性に寄与する可能性を見出した。これらの成果を国内外の学会で発表し、国際英文雑誌に筆頭著者として論文発表を行った。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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