研究課題/領域番号 |
21J11444
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分15010:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する理論
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榎本 一輝 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | レプトン数保存の破れ / ニュートリノ質量 |
研究開始時の研究の概要 |
素粒子標準理論は様々な素粒子・原子核実験の結果を説明することに成功した理論である。その一方で、素粒子標準理論では説明することのできない現象がいくつか知られている。その一つがニュートリノの持つ微小な質量である。この微小質量の起源の有力な候補の一つにレプトン数保存則の破れがある。標準理論の奥に潜む新物理がレプトン数保存則を破っていた場合、将来の地下実験や加速器実験で特徴的なシグナルの観測が期待される。私の研究では、現在または将来の諸実験を用いてレプトン数を破る新物理をどのように探索し、異なる新物理理論を区別、検証するかについて広く網羅的に調べる。
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研究実績の概要 |
我々はレプトン数の破れを伴うある1つの新物理模型に着目し、その現象論を研究した。この模型では新しく追加された右巻きニュートリノのマヨラナ質量によってレプトン数が破れており、これが量子効果を通じて、現在観測されているニュートリノの微小質量を生成する。また、この模型は拡張されたヒッグスポテンシャルを含んでおり、これによって暗黒物質、バリオン数非対称性の問題も同時に説明できる可能性がある。この模型は約10年前に提唱されたものであるが、模型におけるバリオン数生成について十分な研究は行われておらず、この模型が真にバリオン数非対称性を説明しうるかは未解明であった。また、この模型におけるバリオン数生成の物理と、ニュートリノ質量やレプトン数の破れ、暗黒物質の物理などとの相互関係についても明らかにされていないままであった。我々はこの模型を基に、現在までの様々な実験からの制限を満たすように拡張した新物理模型を構築した。具体的にはヒッグスポテンシャルにおけるソフトに破れた離散対称性を放棄し、より一般的な模型拡張した。これにより、ヒッグスポテンシャルと湯川セクターそれぞれにCP対称性を破る独立な位相が導入される為、実験からの制限を満たしつつバリオン数非対称を説明することができるようになる。この新物理模型におけるニュートリノ物理、暗黒物質の物理、レプトンフレーバーの物理、バリオン数生成の物理などを調べ上げ、実験的、理論的制限をすべて満たしつつニュートリノ質量、暗黒物質、バリオン数非対称性を全て同時に説明するベンチマークシナリオを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の最終目標はレプトン数保存の破れを伴う新物理について、模型の詳細によらない方法を用いた研究と具体的な模型を調べる研究の2つのアプローチを用いて調べ上げ、将来実験を用いてこのような新物理模型をどのように同定するかについてのロードマップを作成することである。本年度の研究において我々はレプトン数の破れを伴う具体的なある新物理模型を調べた。これによってある種の模型についての理解を深めたが、他の新物理模型の研究や、模型の詳細によらない方法を用いた研究についてはまだ遂行されていない。この為、進捗状況はやや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究ではまず本年度に研究した模型の現象論について、ベンチマークシナリオの将来実験による検証なども含めてより詳細な研究を行う。これが完了次第、成果を論文にまとめる。その後、レプトン数を破る他の新物理模型の研究および模型の詳細によらない方法を用いた研究を進める。
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