研究課題
特別研究員奨励費
アミロイドーシスは、生体内のタンパク質が難溶性の凝集体に変形・蓄積する難病である。申請者はこれまで、環状糖を付加したカチオン性ポリマー (CDE) と核酸医薬 (shRNA) との複合体 (CDE/shRNA) が、病態モデル動物にて、アミロイド量を減少させることを明らかにした。しかし、CDE/shRNA の体内動態や詳細な治療機序は明らかでない。そのため、本研究期間内に、1) CDE/shRNA の体内動態および生物学的安全性の解明、2) CDE/shRNA のアミロイド阻害機構の解明、3) 脳アミロイドーシス (アルツハイマー病等) に対する CDE/核酸医薬の治療効果について検討する。
シクロデキストリン修飾デンドリマー (CDE) に、Aβ 産生酵素 (BACE1) を標的とした shRNA (shBACE1) を混合し、CDE/shBACE1 複合体を調製後、以下の研究を実施した。(1) アルツハイマー病 (AD) に対する CDE/shBACE1 の治療効果 (in vitro). まず、マウス神経芽腫由来 Neuro-2a 細胞に対して、CDE/shBACE1 をトランスフェクションした結果、BACE1 mRNA レベルを有意に減少することが示唆された。次に、Neuro-2a 細胞に Aβ42 および CDE/shBACE1 を処理した結果、CDE/shBACE1 は、細胞培養液中で Aβ42 アミロイドの細胞毒性を減弱させる可能性が示唆された。(2) AD に対する CDE/shBACE1 の in vivo 治療効果 (in viro). AD の病態後期モデルであるヒト APP Knock-in マウス (12 カ月齢) に対して、CDE/shBACE1 を 1 週間に 1 回、三種混合麻酔下、脳室内投与した結果、投与部位近傍の標的タンパク質の発現を約 10 % 抑制することが示唆された。また、脳内 Aβ の発現をコントロール群と比較して、有意に抑制することが示唆された。さらに、本化合物を投与した条件において、体重、組織重量および脳内炎症サイトカインレベルのいずれも顕著な変化は観察されなかった。3. 種々のアミロイドーシスに対する CDE/shRNA のin vitro 治療効果CDE/shRNA 複合体は、インスリンおよびβ2-ミクログロブリンのアミロイド形成を阻害することが示唆された。また、あらかじめアミロイドを形成させた条件においても、CDE/shRNA 複合体は、アミロイド量を減少させることが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biological & Pharmaceutical Bulletin
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