研究課題
特別研究員奨励費
ノイキルヒ・内田の定理の制限分岐版やその他の一般化を証明する事が最終的な目標であり、具体的には次のような研究方法が考えられる:(A)一変数や多変数の岩澤理論を用いて岩澤加群の構造を詳細に調べ、l進円分指標等の不変量の群論的な特徴付けへ応用する。(B)数体に関するガロアコホモロジーを密度定理や保型表現を用いて調べ、分解群の構造の研究等へ応用する。(C)「S版」のL関数やデデキントゼータ関数を調べ、それらを用いて数体を特徴づける方法を研究する。(D)制限分岐版ノイキルヒ・内田の定理を算術曲面の数論的基本群に関する遠アーベル幾何の研究へ応用する。
前年度から引き続き、数体の絶対ガロア群の最大副C商に関する遠アーベル幾何の研究を行った。まず、剰余標数の復元に関して、円分指標と円分体論を用いる新しい手法を開発した。これにより、密度に関する仮定を弱める事ができた。次に、体の同型に関して、内田興二氏の手法を修正して得られた新しい手法により、前年度まで課していた虚素点に関する仮定を外す事ができた。これらの結果を用いて、最大副C商版ノイキルヒ・内田の定理を、「Cに関する素数の集合のディリクレ密度が0でない」という研究開始時に期待していたよりも弱い仮定の下で証明した。上記の結果以外に、Cに関する素数の集合のディリクレ密度が0の場合の部分的な結果も得られた。これは「最大副p商版」へのアプローチにもなっている。一方で、最大副p商版は、「最大2-step冪零商版」の反例の構成に関する論文(arXiv:2301.10342)において反例の存在が予想されており、複数のアプローチによる更なる発展が期待できる。これらの結果をまとめた論文のプレプリントはarXivにて公開済み(arXiv:2303.02931)で、現在学術誌へ投稿中である。また、昨年度に執筆した論文:「Isomorphisms of Galois groups of number fields with restricted ramification」の投稿作業を進め、Mathematische Nachrichtenにおける掲載が決定した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal fur die reine und angewandte Mathematik (Crelles Journal)
巻: 785 号: 785 ページ: 187-217
10.1515/crelle-2021-0090