研究課題
特別研究員奨励費
本研究の主眼は、上古中国語のうち主に戦国時代から秦代(紀元前5~前3世紀頃)の出土資料に現れる“用字避複”という現象を幅広く考察し、当時の文字意識の一端を解明することである。用字避複の簡潔な定義は「用字が近い位置で重複した場合に意識的にそれらを差異化する現象」である。清華大学蔵戦国竹簡・郭店楚簡・包山楚簡・睡虎地秦簡・侯馬盟書など、地域や時代の異なる資料を広く調査対象とすることで用字避複現象の特徴を探り、体系的な説明を追求する。また副次的な研究として、用字避複研究の際に蓄積した古文字のデータを元に、古代中国出土資料のデジタルアーカイブを構築しようと計画している。
本年度も、昨年度に引き続き副次的な課題として掲げた「中国出土資料のデジタル化への研究」に注力した。これは、新型コロナウイルス感染症の流行が未だ収まらず、中国へ渡航して主軸課題「用字避複の研究」を進めることが叶わなかったためにとった対応である。人文情報学研究に関する情報収集のために各種学会や研究会への参加に努め、そのうち「第17回京都大学人文科学研究所 TOKYO 漢籍 SEMINAR『デジタル漢籍』」に参加した時の様子をイベントレポートとして『人文情報学月報』129号に投稿した。また出土資料上の古漢字情報を効果的にテキストデータ化するためにTEIガイドラインに準拠したマークアップ及びRDFに基づくデータ記述に関する研究を進め、TEIマークアップに関しては「第27回 情報知識学フォーラム」で、RDF記述に関しては「中国出土資料学会 2022年度第2回大会」で発表を行った。こうしたデータ記述研究に付随して、中国古典籍にTEIマークアップを適用させるという研究成果の一部が『人文学のためのテキストデータ構築入門』に掲載された。また実際に作成した古漢字データの情報は研究データ論文として『デジタル・ヒューマニティーズ』3号に投稿した。なお今後予定されているものとして、複数研究者による古漢字の解読情報をそれぞれ並存させた上でテキストデータとして適切に記述する方法についての議論が『中国出土資料研究』27号に掲載される見込みである。データベース作成やデジタルアーカイブ構築に関連するものとして、「文化財(美術工芸品)の修理記録アーカイブ構築に関する調査報告会」で報告を行った。その内容は文化財修理記録に関わるものであり本研究課題と直結はしないものの、ここで扱った情報の整理・記述方法は今後の自身の研究にも大きく援用が出来るであろうと考えている。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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中国出土資料研究
巻: 27
デジタル・ヒューマニティーズ
巻: 3 号: 1 ページ: 27-31
10.24576/jadh.3.1_27
情報知識学会誌
巻: 32 号: 4 ページ: 410-413
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人文情報学月報
巻: 129
日本漢字學會報
巻: 3 ページ: 93-111
40022642346
The 11th Conference of Japanese Association for Digital Humanities 2021
巻: - ページ: 114-116
じんもんこん2021論文集
巻: 2021 ページ: 64-71
170000186300
巻: 121
巻: 122
https://zenodo.org/record/6271990/
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