研究課題
特別研究員奨励費
マイクロ波ロケットは、ミリ波電磁ビームにより推進エネルギーを機体に供給することで飛行する次世代型宇宙輸送機である。大気圏飛行時は大気を吸い込んで推進剤とするため、既存ロケットに比べ搭載貨物量が増加する。よって、搭載貨物1kgあたりの打ち上げ費用を大幅に削減できる。当該ロケットでは、ノズル内部で生じる大気プラズマを介してミリ波のエネルギーを推力に変換する。本研究では、推力生成過程を解明するため大気プラズマの分光計測を行い、その知見を用いて打ち上げスケールの現象を模擬できる数値シミュレーションコードを開発する。
(1)マイクロ波ロケットの繰り返しパルス運転に関する数値シミュレーション繰り返しパルス照射時の推進器内部のプラズマ挙動を解明するため,既存の空気吸い込み計算と新たに開発したデトネーション伝播計算を連成させ,複数サイクルを計算できるコードを開発した.デトネーション伝播計算においては,空間非一様な入射電界強度を与えることで,先行実験で得られたプラズマ構造の再現に成功した.また,推進器内部に残留する高温ガスの影響で,ミリ波照射2発目以降,電離波面伝播速度が速くなることが確認された.(2)ジャイロトロンUT-94の高出力化とそれにより駆動されるデトネーション波の観測まず,開発した周波数94 ギガヘルツのジャイロトロンUT-94において,大口径配管真空系統を用いて管内部の真空度を極限まで高めることで,カソード電圧45キロボルトで異常放電が生じない安定運転が可能となった.そして,発振されたミリ波を大気中で集光することでミリ波放電観測を行い,プラズマ構造と電離波面伝播速度の計測に成功した.先行の100ギガヘルツ以上の計測結果と比較することで,それらの周波数依存性が明らかとなった.(3)振動-併進温度非平衡を考慮したデトネーション波面構造の解析先行実験により,プラズマ波面において電子励起・振動温度が併進・回転温度よりも顕著に高い温度非平衡状態が明らかになった.そこで,振動,併進温度の2温度モデルに基づく非平衡2次元CFD解析を行った.その結果,電離波面の後方におよそ3ミリメートル距離を置いて衝撃波面が形成される現象が,振動温度と併進温度の緩和遅れで説明できることを明らかにした.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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宇宙太陽発電
巻: 7 号: 0 ページ: 1-5
10.24662/sspss.7.0_1
130008154528
2021 46th International Conference on Infrared, Millimeter and Terahertz Waves (IRMMW-THz)
巻: 2021 ページ: 1-2
10.1109/irmmw-thz50926.2021.9567447
http://www.al.t.u-tokyo.ac.jp/index.html