研究課題/領域番号 |
21J13422
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松原 理佐 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 心理言語学 / メンタルレキシコン / 第二言語習得 / 音声学 / 音韻論 |
研究開始時の研究の概要 |
文字情報を黙読で処理する場合においても、まるでそれを音声情報として受信したかのように音声的に処理されることが先行研究で示されている。また、第二言語習得において、母語にない音の対立の獲得が困難であることが知られている(例:日本語母語話者に対する英語の/r/と/l/)。本研究では、日本語を母語とする英語学習者が、英語の黙読においても同様に/r/と/l/を混同するか、例えば、rockという語が文字で提示されたとき日本語で同音となるlockという語の情報を自動的に思い浮かべてしまうことで、lockと意味的に関連した文中のkeyという語の処理に影響するのかを、黙読実験をはじめ複数の実験を通じ検証する。
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研究実績の概要 |
先行研究では、文字で提示された言語について、第一言語の語の処理の初期段階では音の処理が優先され、その後に綴りの照合が行われて同音異義語の候補が除外される(検証処理)と考えられている。2022年度は、こうした先行研究の報告に基づき、文字で書かれた第二言語としての英語の語を処理するうえで、どの段階で日本語の音韻の影響による誤認識を修正するのか、するとしたら処理のどの段階で起こっているのかを検証する実験を行った。具体的には、日本語母語話者にlockという語を2通りの極めて短い時間(120ms, 500ms)提示した後に、rockの類義語であるstoneという語を見せてそれが実在語かどうかを判断させたところ、事前にlockという語を500ms見せた場合の方がその判断が早くなった。これは、処理の初期段階ではまだ検証処理に至っていないため、lockという語を120ms提示したときのみ、日本語母語話者はlockを日本語で同音となるrock(どちらも「ロック」)と誤認し、あたかもlockとstoneが類義語であるかのように反応してしまうはずだという予測とは反対の結果となった。これにより、第二言語における視覚的な語処理では、第一言語よりも検証処理に時間がかかっている可能性をはじめ、第一言語での処理との差異が示唆された。この実験結果は、黙読であっても第一言語の音の影響を受け、第二言語の文字情報を誤って認識してしまう可能性があるということを示している。この知見は、第二言語の発音や聴解だけでなく黙読時においても、混同しやすい音を含む語に注意を向けさせる教育方法を取り入れるなど、第二言語としての英語教育においても活用することができるという考察とともにKJEE (Komaba Journal of English Education)14巻に掲載された。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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