研究実績の概要 |
本年度は, 出力空間の情報量に基づくマルチフィデリティベイズ最適化に関する論文が国際ジャーナルに採択された. 本研究においては, 出力空間情報量という指標の汎用性を最大限に活用することで, 複数の観測を並列して行うことのできる並列設定や, あるフィデリティで観測を行うとそれより低いフィデリティの観測が同時に得られるトレース観測設定などのより発展的な問題にも一貫した指標が定義できることを示した. さらに, 出力空間情報量が一貫した近似によって効率的に計算可能であることを示した. これらの提案法は, 出力空間情報量に基づくベイズ最適化法の利点を引き継ぎ, ハイパーパラメータを必要とせずに比較的低い計算量で高い最適化性能を持つものである. 本研究では, 材料分野におけるシミュレータの最適化への応用実験も行っており, 提案法が材料科学分野への応用でも高い性能を持つことを示した. さらに, 本年度は出力空間情報量に基づく制約付きベイズ最適化法を提案し, 本研究成果は機械学習分野のトップ会議であるICMLに採択された. 制約付き最適化は, 材料科学分野では例えば安全性を担保した新規材料探索などの重要な実応用に必要とされる技術であり, 本研究目的に即するものであると考えている. 本研究では, 既存法における近似は制約付き最適化問題においては情報量の非負性が担保できないなどの問題があることを示した. そこで, 情報量の下界に基づく近似法を新たに提案し, これによって情報量の近似精度に関する理論解析を情報量に基づくベイズ最適化の文脈において初めて行った.
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