研究開始時の研究の概要 |
対象に対する行動による結果の変化(因果効果)の適切な予測は医療や教育など様々な分野において人々の意思決定を大きく支えている. 因果効果を予測するためには, 対象の特徴量, 行動, その結果が揃った教師付きデータが必要でなる. しかし, このような教師付きデータを収集することは時間, 金銭, 倫理的な点から非常に高価であり, 充分量用意することは困難である. 本研究では少数の教師付きデータから因果効果予測を行う. その際, 多量に利用可能な対象の特徴量のみを含む教師なしデータや行動に付随する有益な特徴量を活用することで, 教師付きデータが少数であっても適切な因果効果を予測可能な手法の開発を目指す.
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研究実績の概要 |
当該年度では主に(1)隠れ交絡変数を含む因果モデルに対する因果効果推定手法の開発, (2)グラフ構造データに対する因果効果推定手法の開発を行った. (1)では前年度に引き続き, 隠れ交絡変数を含む因果効果推定について取り組んだ. 交絡変数は正しい因果効果推定のために必要な変数だが, 倫理的な問題やプライバシーの観点から入手が困難な場合があり, 実際の観察データには含まれていない場合がある. このような状況における交絡変数を隠れ交絡変数と呼ぶ. 隠れ交絡変数を含む因果効果推定を考える際, 近年では深層学習手法の一つであるVariational AutoEncoder (VAE)を用いたアプローチが考えられるが, VAEには理論的な欠点があることが明らかになった. 本研究ではその欠点が因果効果推定においても望ましくない結果をもたらすことを示し, その欠点を補う手法の開発を行なった. 本研究の結果はThe 14th Asian Conference on Machine Learning (ACML2022)のspecial issueとして, 機械学習に関する重要な国際論文誌の一つであるMachine Learning Journalに採録された. (2)では任意のグラフ構造を含む個体に対する効率的な因果効果推定手法の開発を行った. 介入対象の個体が複雑な関係性を持つグラフである場合でも, 効率的に観察バイアス除去し正しい因果効果を推定することができる.
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