研究課題/領域番号 |
21J14914
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
高橋 啓伍 総合研究大学院大学, 複合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2022年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2021年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | アイスアルジー / 播種 / 氷縁ブルーム / 新成氷 / Fragilariopsis / 南大洋 |
研究開始時の研究の概要 |
極域では海氷融解とともに植物プランクトンの大発生(ブルーム)が発生する。南大洋では海氷融解水による成層化、鉄の供給、アイスアルジーの海水中での増殖(Seeding)によってブルームが発生するとされるが、その分布は海氷縁の後退に対して時空間的に不均一である。そのため海氷縁辺域における基礎生産量の精確な評価と、環境変動に対する物質循環の応答を把握するためにブルーム発生メカニズムを解明する必要がある。本研究は南大洋における氷縁ブルームの発生パターンを、アイスアルジーの放出量と増殖の有無によって分類し、各パターンが発生するメカニズム解明を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は氷縁ブルームの発生メカニズムを現場観測と衛星データ解析から解明することを目指す。令和3年度は、採用者が乗船した2019年12月-2020年3月の南大洋航海で採取した海氷(主に一年氷および新成氷)試料の分析と衛星データの解析を行った。海氷の基本的な分析(塩分、クロロフィルa濃度、栄養塩等、藻類組成)と海氷の物理構造の解析(密度や断面構造の把握)を完了させた。南大洋夏季の現場データを用いて、海氷融解後に放出されうるアイスアルジーが、水中の植物プランクトン種組成に影響を与えるかを考察した(Takahashi et al. 2022)。また植物プランクトン種間での新成氷への取り込まれやすさの差、海氷生成・固化過程と、海氷への植物プランクトン濃縮との関係に関する知見を得られたので、これを基に解析を行った。 令和4年度は、これまで継続してきた海氷・海水試料の分析に加えて、第63次南極地域観測隊(2021年-2022年)で採取された海氷試料の処理も完遂した。白鳳丸で採取されたケープダンレー沖の流氷中アイスアルジー有機物・種組成について論文を投稿した。またアイスアルジーを分析する過程で、より効率的な珪藻プレパラート作成法を発見したためこちらも論文として投稿し、いずれも現在リバイス中である。この成果により今後、珪藻群集の解析が短時間で遂行できると予想される。衛星データ解析では、対象期間である過去17年分の海色クロロフィルaデータを解析し、基礎データとなる氷縁ブルームの分布と発生パターンを抽出することが出来た。現在はこのデータと海氷の後方追跡解析の結果を比較している所である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和3年度は出張制限のため海氷分析を少人数で行う必要があり、また外部の研究機関での分析が当初より遅れたことで海氷の薄片データが揃うまで時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
海氷生成にともなう植物プランクトンの海氷への取込みについては、アイスタンクを用いた室内実験および現場観測データが揃ったため、それぞれ投稿に向けて執筆中である。海底地形・気象データのデータベースからそれぞれ水深と気温・風速を抽出し、海氷生成環境と融解後の氷縁ブルームのタイプとの関係を調査していく。
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