研究課題/領域番号 |
21J15132
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
審査区分 |
小区分80010:地域研究関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加反 真帆 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2022年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
2021年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 自然資源ガバナンス / エリートキャプチャー / 泥炭保全ガバナンス / 住民参加 / インドネシア / 所得格差 / 公平性 / 村落エリート |
研究開始時の研究の概要 |
熱帯泥炭火災問題の解決は生物多様性そして気候変動の観点から、21 世紀の喫緊課題である。20 世紀後半から、インドネシアのスマトラ島やカリマンタン島の熱帯泥炭地では、大規模泥炭火災が深刻化している。火災の深刻化に伴い、インドネシア政府は地域住民の生計維持・向上と荒廃泥炭地の修復を目指してきた。本研究では、地域住民を巻き込んだ画一的な泥炭保全ガバナンスが、荒廃泥炭地の修復に繋がるという想定そのものを再検討する。長期フィールドワークに基づいた政策の担い手の実態把握と農村経済調査により地域住民の生計活動における泥炭地の位置づけを分析する。そこから、持続的泥炭管理の課題を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は,泥炭保全ガバナンスのパラドックスを実証するため,インドネシアにおける泥炭保全ガバナンスが泥炭社会に与えた影響を包括的に解明することを目的としている。 2022年度は,インドネシアで現地調査を行い,泥炭保全ガバナンスの運用主体である地方NGOや,村落泥炭保全の担い手に対する聞き取り調査を行うことができた。 地方NGOに対する聞き取り調査では,これまでの調査結果が示唆した「村落レベルで生じるエリート・キャプチャー問題」のメカニズムを明らかにすることを目的に,地方NGOの発足から現在に至るまでの取り組み,活動資金源,実施対象村落および村落レベルの担い手の選定基準を聞き取った。調査の結果,地方NGOは,2000年代以降,火災が深刻化し,海外ドナーからの泥炭保全に対する援助資金が増加したことを受け,泥炭保全というイシューに積極的に取り組むようになったことが明らかとなった。次に,上記の泥炭保全に取り組むNGOは,ドナーと依存関係にあり,泥炭保全プログラムの実施において,成果主義に陥り,既に信頼関係を築いた住民がいる村落を対象とする傾向が明らかとなった。調査村では,それがエリート・キャプチャー問題の要因となっていた。 次に,村落レベルの泥炭保全の担い手に対する聞き取り調査から,2019年頃まで,地方NGOが実施する泥炭保全プログラムの担い手となることで,活動資金を獲得していた村落消防団は,2020年以降,その資金が途絶えたことが一要因となり,活動が維持・継続できなくなったことが明らかとなった。 以上から,資金獲得環境が不安定な外部アクターの介入は,村落内部にエリート・キャプチャー問題をもたらしただけでなく,持続可能な村落泥炭保全にも寄与しなかったことが明らかとなった。今後は,透明性が担保された資金を村落泥炭保全の担い手に配当するための制度の設計が求められる。
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現在までの達成度 (段落) |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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