研究実績の概要 |
ペロブスカイト型化合物は、一般式ABX3で表され、多彩な機能を有するため、活発な研究開発がなされている。層状ペロブスカイトには、ペロブスカイト(類似)層における擬単純立方ユニットの(100), (110), (111)面がペロブスカイト(類似)層に平行な3つの主要なグループが存在する。このうちの(100)層状ペロブスカイトは、多くの化合物が報告されており、かつ物性の研究の数も多い。一方 (110)層状ペロブスカイト材料の報告例は少なく、「構造や物性に関する研究が少ない」、「材料探索が十分になされていない」などの問題がある。本研究では、近年発見された(110)層状ペロブスカイトのイオン伝導体BaNdInO4について、その相転移機構を解明しイオン伝導との関係を明らかにすること、新規(110)層状ペロブスカイト化合物の発見を目指し、報告数の少ない3つのカチオンを含むABCO4組成の新物質を発見することを目的とした。 (110)層状ペロブスカイトBaNdInO4は、室温で単斜晶系空間群P21/cに属するイオン伝導体である。高温におけるBaNdInO4の結晶構造は、分解能の低い中性子回折装置を用いた測定データから解析した例が報告されているが、詳細な構造解析や、相転移の可能性については明確にされていなかった。本研究では、室温から高温におけるBaNdInO4の結晶構造変化を明らかにするために、高温かつ高分解能の放射光X線および中性子回折測定を実施し、構造解析を行った。その結果、ある温度にて、高い対称性の空間群の高温相へ転移することが、消滅測から明らかにすることができた。 ABCO4組成の構造マップを用いて探索する新物質の組成を選定し、合成を行った。合成した試料のXRD測定を行い、結晶相と格子定数を明らかにした。その結果、ABCO4組成の新物質を発見することができた。
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