研究課題/領域番号 |
21K00011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
新川 拓哉 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (20769658)
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研究分担者 |
宮原 克典 北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 特任講師 (00772047)
濱田 太陽 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 客員研究員 (40842258)
西田 知史 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (90751933)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 内観 / 神経現象学 / 知覚経験 / 意識 / 実験現象学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,哲学と神経科学の観点を連携させる学融合的な方法論によって,内観の認識論的な地位を解明することである。現代の標準的な科学的意識研究は、被験者の意識のあり方を同定したうえで、その認知的役割や神経基盤を特定することを目指す。被験者の意識のあり方を同定する最も直接的な手法は、被験者が自身の意識のあり方を内観して言語的に報告する「内観報告」である。だが、内観がどんな認知プロセスなのかは明らかでない。そこで本研究では、内観を構成する認知プロセスを哲学的な概念分析と神経科学的な実験研究によって解明し、意識研究が進むべき方向性を探る。
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研究実績の概要 |
今年度は以下の二つの研究を主に実施した。 (1)現象学的な反省として特徴づけられるタイプの内観を支える神経メカニズムを特定するための神経科学的な実験研究を設計し、実施した。データ取得と解析はすでに終了しており、現在成果を報告する際の論文を執筆中である。成果の概要としては、知覚経験の対象のあり方に注意を向ける「自然的態度」をとっている時と、知覚経験そのもののあり方に注意を向ける反省的態度をとっている時とで、特定の脳領域の活動に違いがあることを明らかにした。この成果は、2023年6月にニューヨークで開催されるAssociation for the Scientific Study of Consciousnessと、2023年8月に仙台で開催される第46回日本神経科学大会で発表予定である。 (2)Thomas Raleighらによって提示された、知覚的な意識経験の現象的性格に関して内観によって把握可能な側面と把握不可能な側面があるという考えを軸にして、環境を適切に知覚しているときの経験と、知覚的な想像をしているときの経験と、幻覚に陥っているときの経験の関係について選言説的な見解を支持する議論を展開した。具体的には、知覚と想像と幻覚がそれぞれ主観的に区別不可能だとしても、想像と幻覚を同じ現象学的な種とみなし、知覚をそれとは異なる現象学的な種とみなす立場は擁護可能だと示した。この成果は、Phenomenology and Cognitive Sciences誌での掲載が確定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験研究も理論研究も着実に予定通り進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の前半期は研究代表者が育児休暇を取得しており研究の推進が不可能であるため、一年間の研究期間の延長を申請する予定である。育児休業終了後も続く育児負担を考慮に入れたうえで、共同研究者と密に相談しながら、無理なく研究目標が達成できるようなスケジュールを組み研究を実施する予定である。
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