研究課題/領域番号 |
21K00017
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
村田 憲郎 東海大学, 文学部, 教授 (80514976)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 現象学 / 時間 / 空間 / ブレンターノ / 感覚 / フッサール / メルロ=ポンティ / ゲシュタルト心理学 / 感性 / ブレンターノ学派 / 知覚 |
研究開始時の研究の概要 |
現象学への寄与をめざし、ブレンターノ学派の時間・空間・感性的表象にかんする議論を再構成する。 具体的には1) ブレンターノの記述的心理学とその枠内での感性的表象についての議論、2)シュトゥンプフの空間表象論、3)マイノングおよび(エーレンフェルスを含む)グラーツ学派の複合的対象の議論、4)これらの議論とゲシュタルト心理学との関係について明確化する。 また以上の諸点と、フッサール、メルロ=ポンティ各々との関連を検証し、そのことにより、客観的な空間・時間の超越論的構成をめざすフッサールの現象学と、知覚される空間・時間を行動に定位して描き出すメルロ=ポンティの現象学とを、適切に架橋する視座を獲得する。
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研究成果の概要 |
本研究は、オーストリアの哲学者フランツ・ブレンターノにはじまる、ブレンターノ学派の時間・空間・感性的表象についての理論を、系統的に理解することにより、現象学への寄与を目指すものである。ただしこの学派を現象学から遡ってその単なる前段階として解釈するのではなく、近年の海外の研究も踏まえ、学派の各動向の固有性を尊重しつつそれらの発展をそれ自体として捉えた。このアプローチにより、これまで日本であまり考慮されたことのないブレンターノ学派の、時間・空間論における多面性が浮かび上がり、その学的資源としての価値が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ブレンターノは数学におけるトポロジーを摂取しつつ、空間・時間を色や音や強度などの担い手となる連続体として位置づけた。シュトゥンプフもまた、質から分離不可能だが概念上は区別できる表象内容として空間を捉え、全体と部分の理論を構想している。マイノングは、エーレンフェルスの言うゲシュタルト質を基づけられた内容と読み替え、関係を与える主体の作用に注目し、そこからグラーツ学派の理論が展開したが、ベルリンのゲシュタルト学派は、グラーツ学派が恒常性仮説を前提していると批判した。これらはすべて、現象学はもとより、現代のクオリア理論や美学などからも参照可能な、検討に値する理論的オプションを提供するはずである。
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