研究課題/領域番号 |
21K00018
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
吉武 久美子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (90468215)
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研究分担者 |
妹尾 弘子 (松本弘子) 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (90289968)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 医療の話合い / 合意形成 / 意思決定支援 / 看護師の役割 / ファシリテーション / ナビゲーション / アレンジメント / 医療の話し合い / 時間・空間構造 / 倫理的価値構造 / ACP |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、医療・ケア・介護を提供する現場で行われる人生の最終段階に関する話し合いの特徴を考察した上で、話し合いのファシリテーションに求められる倫理に関する価値の構造を明らかにすることを目的とする。 方法は、医療における話し合いの特徴、およびファシリテータ(促進役)に求めらる倫理に関する特徴を他領域の話し合いとの比較、および話し合いにかかわる人のインタビューをとおして考察する。さらに、海外の人生の最終段階についての話し合いとの比較をとおして考察を深めて、医療者に対するファシリテーション教育に必要な要素を導出しまとめる。
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研究実績の概要 |
本研究課題「医療の話し合いにおけるファシリテーションに関する倫理的価値構造の研究」では、令和4年度の目的は、「医療の話合いでのファシリテータの行為・役割について考察を行うこと」であった。これに対して次の2点から考察を行った。 第一は、精神科領域の入院している精神障害者に対して、話合いによる決定が困難である現状を合意形成の視点から整理した上で、看護師に求められる役割を考察した。その結果、医療現場の話合いでの精神科看護師の役割として導出したのは、1)理解・共有を促進するファシリテーション、2)患者・家族の状況にあわせたナビゲーション、3)持続可能な方法のアレンジメントであった。本内容は、論文「医療現場での精神障害者に対する意思決定支援の話合いと看護師の役割」として投稿した。 第二は、医療現場の話合いにおける看護師の役割を導出するために、医療現場の話合いでのコミュニケーションの特徴および、看護職に求められる気づきの要素について考察した。その結果、看護職の気づきとして、「話し合いの設定」「話し合いのプロセスの共有」「患者のための最善策の検討」の要素が必要であり、その要素を満たすために、看護職の役割として、ナビゲーション、アレンジメント、ファシリテーションの3つが必要であることが示唆された。本研究の成果は、2023年3月に第18回日本感性工学会春季大会にて「患者のための話合いと看護職の役割‐合意形成の観点から」として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
R4年度の目標は、「医療の話合いでのファシリテータの行為・役割について考察すること」であった。今年度は、入院している精神障害者に対する話合いに焦点をあてた看護師の役割についての考察と話合いの設定に至る看護師の気づきについての考察を行った。その結果、医療現場の話合いでは、ファシリテーションだけなく、患者とその家族にあわせたナビゲーション、人と場のアレンジという新たな役割を導出することができた。 計画立案当初、精神領域でも看取りという人生の最終段階を迎える人への考察を検討していたが、今年度は、入院している精神障害者に焦点をあてることに変更した。本変更をしたことで、今回、入院患者に対する話合いでの看護師の役割として、ファシリテーションだけでなく、ナビゲーション、アレンジメントを導出できたのは大きな成果であった。 さらに、今年度の考察の視点として、正義に関わる要素を挙げていたが、本内容については、現在、進行継続中である。合意形成の視点から話合いでの看護職の倫理として、正義に関する要素をも含めて考察した結果を、次年度に学会発表もしくは論文投稿の予定である。 今年度の成果として学会発表と投稿論文にまとめられたことは、おおむね順調に計画が進んでいるためである。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、次の2点について研究を進める。 第一は、医療現場での意思決定支援のための話合いにおける看護職として、いかにふるまうべきかという倫理的視点からの考察である。看護師の行為が、ナビゲーション・アレンジメント・ファシリテーションという3つの役割を導出したことから、これらの役割を遂行するために、倫理的配慮は、どのように行うべきか、公平・配分の正義と手続き等から考察を行う。ファシリテータのもつべき倫理的価値構造の導出につなげる。 第二は、医療の話合いと促進役のための教育プログラム開発に必要な要素を考察することである。このための方法として、話合いでの看護師の役割であるナビゲート、アレンジメント、アレンジメントの3つについて、看護実践家に対して、現状と実現可能性について調査した上で、教育プログラムに含めるべき要素を整理する。 さらに、精神保健領域の患者の退院支援にかかわる専門家たちのインタビューをとおして、退院の障害になる要素と専門家たちの関心・懸念、大切にする価値、および看護師の3つの役割が応用可能かどうかについて明らかにする。そのような方法を明らかにすることは、医療の話合いで必要とされる倫理的視点の把握につながる。 以上、今年度の研究計画は、医療の話合いにおける看護師の行為の倫理的側面からの考察および、教育プログラム開発のための考察を理論的と実践的の両方の方法から行うことである。
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