研究課題/領域番号 |
21K00021
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
山口 雅広 龍谷大学, 文学部, 准教授 (20646377)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 倫理 / 正義 / トマス・アクィナス / 権利 / 愛徳 / 共通善 / アウグスティヌス / 正義論 |
研究開始時の研究の概要 |
西洋中世の、アウグスティヌスとトマス・アクィナスそれぞれの正義論のなかには、現代で言うところの、共同体主義や共和主義に近い正義論の構想が認められる。本研究は、現代の正義論の地平から、彼らそれぞれの正義論の可能性を明らかにすることをめざす。 そのために、市民間の、自由と、市民全員に共通の善とを実現しようとする、共和主義と呼ばれるこの政治的伝統と、彼らそれぞれの正義論は、どのような考えを共有するのか、あるいは共有しないのかを考察する。そのさい必ずしも共有されない考えを、現代の正義論を検討する上で有益な考えとして評価できないかを検討する。
|
研究成果の概要 |
本研究は、西洋中世のふたりの神学者・哲学者アウグスティヌスとトマス・アクィナスの、正義を中心とする哲学的・倫理学的学説と、その現代的可能性とを明らかにすることを目指して取り組まれた。特に重要なその成果は、第一に、人間が他の動物を支配することは正しいのか、という環境倫理学的な問いに対するトマスの答え――原則的には正しいとはいえ、無条件的にではない――を提示したことである。第二に、人間がものを食べたり飲んだりすることが正・不正を問われるのはなぜかという、食倫理学的な問いに対するトマスの答え――人間は飲食においても理性の秩序に従い、美徳を身につけなければならないから――を明確にしたことである。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の学術的な意義は、二通りの仕方で述べることができる。すなわち、狭い意味では、西欧中世哲学において人間が持つべき他の動物との関係を明確にしたり、人間の飲食にかんする徳論と法論の関係を究明したりできたことに、その意義は認められる。さらに、広い意味では、西洋中世哲学の以上のような立場から、現代の環境倫理学的あるいは食倫理学的な問いに対する一定の回答を提示できたことに、その意義はある。つまり、本研究成果の学術的な意義は、人間はどうあるべきかという哲学の根本的な問いと、こんにちにおける身近な環境倫理問題や食倫理問題との関連を明示できたことにある。
|