研究課題/領域番号 |
21K00025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大北 全俊 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (70437325)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 責任 / 医療・公衆衛生 / ケア / COVID-19 / 統治 / 国家 / 生命倫理 |
研究開始時の研究の概要 |
一般的な社会生活と同様、医療・公衆衛生領域においても個人・集団の責任が問われる場面は数多くある。医療者の担うべき医療ケアの責任や、COVID-19のような感染症への対応として個人に求められる感染予防の責任、そして国家など公的機関に求められる責任などが挙げられる。いずれも責任を負うべき各主体にとっては実践的かつ切迫した課題であるが、 責任の範囲はどこまでであるのかなど必ずしも十分な議論がなされているとは言えない。本研究は、医療・公衆衛生に領域を限定しつつ責任概念を検討することによって、より適切に限定づけられた責任概念はいかなるものか提示することを目的とする。
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研究実績の概要 |
医療・公衆衛生領域における責任概念の検討にあたって、2022年度は、2021年度に行った国家・社会の責任に関する研究としてCOVID-19対策に関する検討内容、欧米の強制的なロックダウンと異なる日本の自粛・行動変容を主とする対策について、日本の感染症に関する法制度の変遷を軸に検討したものを論考としてまとめ学会誌に掲載した。当該論点については、引き続き日本の感染症対策の歴史的変遷を調査しつつ、責任概念を軸にその変遷と、その一つの帰結としてのCOVID-19対策の意味するところについて検討を行い、論文化を進めている。 次に、個人の責任について、医療専門職者の責任、また各個人の「セルフ・ケア」「自己への配慮」という営みについて、引き続きミシェル・フーコーの統治をめぐる議論を参照しつつ検討を進めた。付け加えて、ケアの倫理をめぐる議論の検討にも着手し、ケアの倫理の文脈における責任概念について関連文献の読解を進めている。ケアの倫理の文脈での検討については、以前の研究対象であったフローレス・ナイチンゲールの看護ケア論について、ケアの倫理との異同、特に人のみをケアの対象とするケア論との異同について、また人間以外の存在へのケアを論じるPuig de la Bellacasaのケア論との異同について検討しつつ、個人の責任、またケアの記述の可能性について検討を進めている。 医療専門職者の責任については、臨床倫理の議論に見られる責任概念あるいは、責任と関連すると考えられる議論の検討にも着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国家・社会の責任という点についてCOVID-19対策を軸に検討し、かつ論文として公開に至っていることと、個人の責任についての検討に2年度目で着手できていることより、概ね予定通り進められている。
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今後の研究の推進方策 |
国家・社会の責任については引き続き日本の感染症対策の変遷を軸に研究を継続し論文化を予定している。 個人の責任については、ケアの倫理やナイチンゲールの看護ケア論を参照しつつ、他者へのケア、セルフ・ケアについて記述の可能性について探究する。 医療専門職者の責任については、臨床倫理及びプロフェッショナリズムの議論の変遷を参照しつつ、検討を進める予定である。
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