研究課題/領域番号 |
21K00026
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
秋葉 剛史 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (30756276)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | 存在論 / 真理論 / 多元主義 / 存在の階層 / 実現関係 / 非還元主義 / 普遍者 / truthmaker / 高次性質 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、哲学の存在論における「多元主義」の立場を、近年の真理論における多元主義の発展をふまえて展開することを目指すものである。この存在論的多元主義の立場は、従来の存在論研究では十分顧みられていなかったが、実際のところ理論的・哲学史的双方の観点からみて大きな魅力を秘めている。このことを示すため、本研究は、まず真理の多元主義の利点と課題を整理したうえで、存在論的多元主義の最良の定式化を探り、その長所と応用可能性を示す。さらに、以上の理論的研究を哲学史研究(特に初期現象学派とプラグマティズム研究)と照らし合わせ、その思想史的射程を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、本研究で設定した三つの下位課題(課題I―III)それぞれについて以下のような研究を行った。 まず、課題I(真理の多元主義の解明と定式化)に関わる研究として、真理の多元主義のなかでも最も有力な枠組みと考えられる真理の機能主義の最良の定式化を探るための考察を行った。より具体的には、M・リンチが与えた真理の機能主義の標準的な定式化を改良する提案を行った。(論文"A functionalist account or truth-grounding"として投稿し査読中)。 課題II(存在論的多元主義の展開)に関しては、世界をいくつかの還元不可能な「階層」からなるものとして捉える非還元的物理主義に関わる考察を行った。より具体的には、力能サブセット説と呼ばれる立場にもとづく非還元的物理主義の定式化を検討し、それに対してなされるある重要な批判から同立場を擁護する議論を行った。その成果は英語論文として学術誌に投稿し採用された(論文”The subset view of realization and the part-whole problem”)。また、具体的個物とは異なる存在様態をもつと考えられる「トロープ」(個別的なものとして捉えられた性質)について、その導入の動機づけと理論的役割を包括的に検討し、その成果を招待講演にて発表した(講演「トロープとは何か:その意味と役割」)。 課題III(哲学史的考察)については、前年度に引き続きメルロ=ポンティの存在論の内実と射程を明らかにする研究を行った。また、19世紀後半から20世紀初頭にかけブレンターノ学派において行われていた存在の多義性と一義性をめぐる議論について整理と考察を行い、それらの議論が現代の存在の多元主義をめぐる議論を実質的に先取りしたものになっているという見通しを得た。(いずれについても成果は発表準備中。)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の申請時に設定した三つの下位課題について、2023年度中の研究によってそれぞれに関して上記のような進展があった。とりわけ課題IとIIに関しては、論文および発表のかたちで具体的成果につなげることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き、上述した三つの課題に取り組む。なかでも、課題I(真理の多元主義の解明と定式化)および課題II(存在論的多元主義の展開)に関しては、論文のかたちで発表できる内容が固まりつつあるので、それらを具体的成果として結実させるための作業を優先的に行う。課題Iに関しては、真理の機能主義のさらなる展開可能性として、心の哲学における目的論的機能主義との関連づける道を探ることを予定している。また課題IIについては、存在の「階層」ないし「レベル」というアイディアを具体的に定式化する方法を、哲学史および科学哲学における議論と関連づけながら多面的に模索する。
|