研究課題/領域番号 |
21K00035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
近藤 和敬 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (90608572)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | フランス哲学史 / ヴィクトル・デルボス / スピノザ研究 / 社会学と哲学 / 20世紀初頭の哲学 / ドイツ哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、フランスの知られざる二〇世紀初頭の哲学史研究者ヴィクトル・デルボスのスピノザ研究の観点から、一九世紀末から二〇世紀のフランスにおけるドイツ哲学の受容の複層的な歴史の一端について解明することを目指すものである。 デルボスのスピノザ研究は、ピエール・ラシェーズ=レイやマルシアル・ゲルーのスピノザ研究を介して、一九六〇年代のフランスにおけるいわゆる第二次スピノザ・ルネッサンスのスピノザ研究の動向へと影響を与えているものと考えられる。 本研究ではこの影響の内実について、デルボスのスピノザ研究だけでなく、ドイツ哲学史研究などの周辺状況を含めて、実証的に明らかにすることを目指している。
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研究実績の概要 |
本年度は、去年度に引き続き、デルボスのカントについての博士号請求論文とフランス哲学会での公開討論会の記録を中心に、デルボスの研究関心とその背景的文脈について研究を行った。とりわけ、去年度から引き続き、デュルケムおよびデュルケム学派のフランス哲学会への影響関係を念頭に、当時の哲学史研究を規定している社会的要請がどのようなものであるのかを検討した。 とくにデルボスのスピノザ研究は、1890年代のものと1900年代のもので細かくみると決定的に変化しているように思われるが、その変化にたいして、カント研究および同時代のデュルケム派社会学や人類学の研究がどのように関わっているのか、あるいはいないのか、ということを引き続き明らかにしようとしている。 デュルケムの当時の哲学に関する議論は、コント以降の実証主義哲学の成果を踏まえており、とくにデルボスがスピノザおよびカントで問題にする自然法と道徳の問題について重要な参照項となっているように思われる。このデュルケムの自然法論の問題について、共著『構造と自然』に所収されている拙著論文でも扱ったが、さらなる研究が必要であると思われる。 また、デルボスの1893年のスピノザ論にみられる自然法の解釈にかんする箇所の部分訳を進め、デルボスがこの時期にどのような国家観、社会観をもっていたのかということを明らかにするための準備資料の作成を行った。とくにこの点について、同時期に出版されたブランシュヴィックのスピノザ論との比較を念頭に、第三共和政期の社会観との関係の研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度末に所属先が変更し、それに伴い、研究環境が大きく変化したため、研究環境を整えるために、かなりの時間と労力を割いたため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、デルボスの晩年の著作集での議論を含めて、カントとスピノザ以外の哲学史にかんするデルボスの研究が、彼の主たる研究とどのような関係のあるのかを解明することを目指す。 とくにデルボスのソクラテス論を中心に、デルボスが哲学とその歴史をどのように大局的に理解していたのかを解明することを目指す。
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