研究課題/領域番号 |
21K00036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 会津大学 |
研究代表者 |
網谷 祐一 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (00643222)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 進化心理学 / 意識 / フェミニスト科学哲学 / 発見法 / 方法論 |
研究開始時の研究の概要 |
進化論の歴史の中で1970年代から90年代にかけてはヒトの心の進化的研究が興隆した時期だが、そうした研究には方法論的批判も多かった。ところが2000年代以降、心の進化研究とそれに対する哲学的批判・擁護は幾度かのアップデートを経てきている。本研究ではこうしたアップデートを背景に、主に(1)進化心理学を発見法的研究分野として擁護できるか、また(2)社会生物学および進化心理学に向けられてきた方法論的批判は意識の進化研究に適用できるか、という二つの課題について考える。
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研究実績の概要 |
交付申請書の研究計画欄では、本研究助成における三つのプロジェクト――(1) 意識の進化研究の方法論的吟味、(2) フェミニズムからの進化心理学への批判の検討、(3) 進化心理学などへの発見法からの擁護の検討――について記した。2022年度は主に(1)(2)で具体的研究実績があったのでそれについて述べる。 (1)については2021年度に行った講演に基づく論文"Do New Evolutionary Studies of Consciousness Face Similar Methodological Problems As Evolutionary Studies of Mind?"をAnnals of the Japan Association for Philosophy of Science誌に投稿し、査読を経て採択された。 また(2)についてはまず2022年5月に" Finding Value-Ladenness in Science: The Case of Evolutionary Psychology"と題した講演をTokyo Forum for Analytic Philosophy(東京大学)にて行った。また6月には「科学に社会的・文化的バイアスを見つけること」と題する講演を科学基礎論学会(オンライン)にて行い、さらに8月には「行動進化論はメタファーで夢を見るか」と題した講演を生物学基礎論研究会(オンライン)で行った。いずれの発表でも聴衆と活発な質問・意見のやりとりが行われた。こうしたやりとりを元に草稿を再度検討して、最終的には論文草稿を国際学術誌に投稿した(審査中)。 さらに本研究に関連する成果として、共著書であるSpecies Problems and Beyond(edited by John Wilkins, Frank Zachos, Igor Pavlinov)がCRC Pressから刊行された("Is Species Problem That Important?"と題する論文を寄稿、2022年6月)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度(2022年度)の研究進捗状況は、上で記した三つの主な研究プロジェクトのうち第一および第二で進展が見られたため、全体として順調に推移したと言える。以下個別のプロジェクトについて進捗状況を述べる。 (1) 意識の進化研究の方法論的吟味:「研究実績の概要」欄で述べたように、このプロジェクトは研究計画調書で記していた論文を国際学術誌に投稿し採択されたため当初の目的を概ね達成した。 (2) フェミニズムからの進化心理学への批判の検討:昨年度後半はフェミニズムからの進化心理学への批判に関する文献を集中的に読み込み、後半は「研究実績の概要」欄で述べたようにいくつかの学会でそれに基づく研究発表を行った。 (3) 進化心理学などへの発見法からの擁護の検討:文献検討を続けている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画について、前述の三つのプロジェクトに沿って述べる。 (1) 意識の進化研究の方法論的吟味:先に述べたようにこのプロジェクトについては論文が出版され元々の目標を達成した。 (2) フェミニズムからの進化心理学への批判の検討:2023年度は前年度の研究に基づく学会発表を予定しており、すでに科学基礎論学会大会・講演会(6月)での発表が内定している。発表の後は国際誌への投稿を試みる予定である。また前年度投稿した論文についても査読結果に応じて改訂・投稿を続ける。 (3) 進化心理学などへの発見法からの擁護の検討:2023年度には、研究代表者は議論に必要な論文の調査を行い、議論をまとめる予定である。
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