研究課題/領域番号 |
21K00049
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
根本 裕史 広島大学, 人間社会科学研究科(文), 教授 (00735871)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 中観思想 / 実践論 / マハームドラー / チベット仏教 / 静寂主義 / 心の探究 / 修行理論 / ゲルク派 / カギュ派 / インド大乗仏教 |
研究開始時の研究の概要 |
大乗仏教の中観思想を実践論の視点から読み解き、インド・チベット仏教思想史の再構築を試みる。18世紀から19世紀に活躍したチベット仏教ゲルク派の学僧クンタン・テンペードゥンメ(1762-1823)の『真実光明論』を考察の基盤とし、三昧、意識の探究、時間論などをキーワードにして、ゲルク派僧院で培われた伝統教学の内部から思想史を捉えようとするイーミック(emic)な研究を目指す。
|
研究実績の概要 |
大乗仏教で成立した中観思想を実践論の視点から読み解き、インド・チベット仏教思想史を再構築するという研究目的を達成するため、当該年度に計画していた のは、ゲルク派の関連著作で引用・言及されるインド仏教文献を精査することであった。[1]特に聖者の入定中の意識に顕現する対象に関し、ツォンカパの『善説金蔓』や後代の註釈文献に現れる議論を精査し、そこに引用されるハリバドラの『現観荘厳論光明』、アバヤーカラグプタの『牟尼意趣荘厳』の原典や、それらと関連するカマラシーラの『中観光明論』の記述を検討することで、有顕現説と無顕現説の対立点や、有顕現説の下位区分の中で登場する不在(med dgag)と準不在(ma yin dgag)という二つの概念の重要性を見出した。[2]さらに、中観派の実践論を考察する上で重要な参照点となる瑜伽行派の実践論にも目を向け、特に『解深密経』の三相説についてのツォンカパや後代のゲルク派の解釈を検討し、そこでは言語と概念の双方向的作用が重要な意味を持つことを明らかにした。
上記の研究成果の内、第一点について詳しくは2024年8月に開催される国際中観学会(オーストリア国立アカデミー)と9月に開催される「無の探究」シンポジウム(京都先端科学大学)で発表し、「無の探求」シンポジウムの論文集に投稿する予定である。現在準備中の英文単著にもその成果を反映させる。第二点については単著論文「解深密経の言語哲学:言葉が動き始める時」(『比較論理学研究』第21号)として発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果の第一点についての学術発表や論文出版は次年度に持ち越しとなったものの、第二点についてはまとまった形で学術論文を仕上げることができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き『真実光明論』の「意識の探究」節の精査を継続する。当該年度の研究成果の一部を2024年度の国際学会・国内学会で発表し、学術誌に論文を寄稿する。また、2025年度の英文単著出版に向けて準備を進める。
|