研究課題/領域番号 |
21K00050
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤井 倫明 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (40867454)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 牟宗三 / 宋明思想 / 道徳説 / 理 |
研究開始時の研究の概要 |
牟宗三(1909-1995)は新儒家を代表する人物であり、その学問・思想は学術世界において大きな影響力を持っている。牟氏は、儒教思想だけでなく西洋哲学や仏教思想にも造詣が深く、スケールの大きな独自の儒教哲学体系を構築した。宋明思想についても鋭い分析を加え、宋明思想の展開を三つに分ける三系統説を主張した。ところが牟氏がなぜこのような見解を示すに至ったのか、その文献解釈の方法や論理構造については十分な解析がなされていない。そこで本研究では、牟宗三の構築した儒教哲学体系の特質を明らかにするとともに、三系統説をはじめとする牟氏の宋明思想理解がどのような経緯で形成されたのかを具体的に解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、具体的に以下の5点について解明せんとするものである。(1)牟宗三は儒教文献をどのように解釈することで中国思想の中に「道徳的形而上学」(道徳をベースとした形而上学)、すなわち道徳即宗教という「道徳的宗教」の存在及びその歴史的な流れ(道統)を見出していったのか、(2)牟宗三は、宋明思想の文献をどのように解釈・整理することで、宋明思想を三系統に分け、程頤・朱熹の系統を支流とする斬新な学説を導き出していったのか、(3)牟宗三は宋明思想における「理」をどのように分析、解釈しているのか、(4)牟宗三の思想・立場と他の新儒家(梁漱溟、熊十力、唐君毅、徐復観など)の思想・立場にはどのような異同があるのか、(5)牟宗三の構築した儒教哲学にはどのような現代的な意味、可能性があるのか。 第2年度は、『牟宗三全集』全32巻など、第1年度に購入・収集した関連資料に基づき、上記の(3)の問題について研究を進めた。特に牟宗三が朱子の道徳説をどのように捉えているのか、牟宗三による朱子『孟子』解釈批判を通して、その理解の特質と妥当性について検証を行った。その研究成果の一部は、台湾及び中国の学会で発表し、「朱子心性論的建構与対《孟子》的詮釈」(『中国心学』第2輯、商務印書館、2022年8月、pp.91-112)、「朱子的《孟子》詮釋與心性論的建構」(李威熊主編『第十二屆中國經學國際學術研討會論文選集』、萬巻樓、2023年3月、pp.303-327)に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
関連文献の収集、読解は概ね順調に進んでいるが、予定していた『心體與性體』第一部「総論」部分の翻訳が、現時点で五分の二程度までしか進んでおらず、ペースを上げて作業を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
作業の遅れている『心體與性體』の翻訳を精力的に進め、今後2年以内に完成できるようにしたい。 また、本研究が解明を目指している研究課題5点のうち、現時点でまだ十分考察の及んでいない(2)牟宗三の思想・立場と他の新儒家(梁漱溟、熊十力、唐君毅、徐復観など)の思想・立場にはどのような異同があるのか、(3)牟宗三の構築した儒教哲学にはどのような現代的な意味、可能性があるのか、といった問題について解明を図りたい。牟氏の著作は大部であるので、引き続き、読解を進めていきたい。
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