研究課題/領域番号 |
21K00059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 身延山大学 |
研究代表者 |
池上 要靖 身延山大学, 仏教学部, 教授 (60193182)
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研究分担者 |
高田 知仁 身延山大学, その他部局等, 研究員 (70866756)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | パバン仏像 / ルアンパバン / 座像 / 接地印 / 触地印 / サナマン仏像 / 成道印 / 仏像 / ハムニャ仏像 / コーフォン仏像 / セメント / 主尊 / ルアンパバン仏像 / ラオス仏教 / クメール仏像 / ランナー仏像 / ルアンパバン仏像分類 / 仏暦2500年 / ファーグム王 / ルアンパバーン / インドシナ半島 / 上座仏教 / 仏教文化交流 |
研究開始時の研究の概要 |
ラオスのルアンパバーン世界文化遺産地区の仏像群1174体を調査した基礎データを用いて、歴史的資料の少ないインドシナ半島中央部に14世紀から根付いた仏教の交流について、文字資料ではない仏像から得られる情報を精査して、仏教文化の交流史を描くことが目的です。 インドシナ半島諸地域の仏像データや歴史資料も用いて、仏像から得ることができない部分を補足し、さらに仏像の台座銘文も重要な資料として考察します。 上記の活動から得られたデータにより、時代ごとの作例基準となる仏像を選定して、形態などからその前後に配置される仏像を確定して、ルアンパバーン仏像の系統図を作成し、仏教交流による文化形成を明らかにします。
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研究実績の概要 |
研究実績は、第75回日蓮宗教学研究発表大会(時:令和5年11月10日金曜日、所:立正大学大崎キャンパス)において「ルアンパバン仏像の造像形式による史的受容試論」と題して下記の要旨を発表した。 1、ルアンパバン世界遺産地区内35寺院の歴史的価値が認め1174体のデータの更新を行ったが、確認不能の仏像(理由:他地区寺院へ移動、盗難、不明)があった。台座と本体とが分離されて、台座記銘と本体とが結びつかなくなった。 2、上記の状態となった仏像数が1割の120体以上となっている。そして、この現状は現在も進行中である。このような現状であるが、形態上の分類は既に終わっており、記銘との確認を中心に現地活動を行った結果、年代特定が可能な仏像は5体しかないことが判明した。記銘はあるが、年代特定を可能とする固有名詞や年月日が記されている仏像数が極端に少ないことが原因である。これは予想以下の結果であった。 3、座像を中心に材質面での分類を行った。特にブロンズ製サナマン座像は座像全体の66%となり、経年劣化などの変化を受けにくく、個体としての特徴を明確にすることで、造像段階を明らかにすることが可能と判断した。 4、上述の結果、ブロンズ製サナマン座像にはプロトタイプが存在する可能性が高いことが判明した。これは、2022年度調査研究報告となった「パーリ学仏教文化学」第35号に掲載された拙稿の指摘した内容と一致した。その他の座像、立像にも同様な検証を行いプロトタイプの比定を行い、検証精度を高めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
下記の理由により、研究の進展が充分に図られていないため、研究期間の1年間延長を申請した。 1 コロナ禍によりラオス人民民主共和国政府による入国制限があったこと。 2 情報文化観光省のルアンパバン局による世界遺産指定地域内の寺院の管理方法が変更となり、事前予約が無ければ施錠され、自由な往来が困難となり、調査時間に制約が生じたこと。 3 現地調査後のデータの整理時間が少なくなってしまったことと、追加調査を依頼した現地協力者(ヴィエンチャン在住)がルアンパバンに赴き、予約を取り追加調査をすることが、前記2の理由で遅れてしまい、意思の疎通が不充分となってしまったこと。
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今後の研究の推進方策 |
最低一回の渡航が必要であるが、これは今夏までにかないそうである。その渡航中にデータの再確認を行い、修正後の仏像データから、各種の仏像の形態的特徴を明らかにして、グループ化を完了させ、伝播の過程を明らかにする。すでに、座像のサナマン像(接地印、触地印、成道印)の仏像のプロトタイプについては、これまでの研究で一応の結論が得られているので、その方法を他の仏像群にも適用してゆき、座像、立像仏像の形態的変遷を、この半年間で明らかにして、研究大会などで発表する。その内容は研究論文としてまとめて、しかるべき研究雑誌に掲載する。
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