研究課題/領域番号 |
21K00062
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
桂 紹隆 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (50097903)
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研究分担者 |
吉田 哲 龍谷大学, 経済学部, 准教授 (00644080)
志賀 浄邦 京都産業大学, 文化学部, 教授 (60440872)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ディグナーガ / ジネーンドラブッディ / プラマーナ・サムッチャヤ自注 / プラマーナ・サムッチャヤ複注 / 推理論 / 因の三相 / 集量論(自注) / 集量論複注 |
研究開始時の研究の概要 |
梵語テキストが発見され、校訂出版された、ジネーンドラブッディ(8-9世紀)の『プラマーナ・サムッチャヤ・ティーカー』第二章「自己のための推理章」を翻訳研究することにより、チベット語訳でしか現存しないディグナーガ(5-6世紀)の『プラマーナ・サムッチャヤ』第二章の梵語テキストを復元し、古典期インドにおける認識論・論理学の発展において最も重要な役割を果たしたディグナーガの『推理論」の全容を明らかにする。その成果として『プラマーナ・サムッチャヤ・ティーカー』第二章の翻訳研究を出版する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、ハイブリッド形式による集中研究会を1回、オンライン研究会を8回開催した。その結果、研究対象であるディグナーガの『プラマーナ・サムッチャヤ自注』(PSV)第二章に対するジネーンドラブッディの複注(PST)のウィーンから出版された校訂本の13-42ページを読了した。これでディグナーガ自身の「推理論」の三分のニを読み終えたことになる。 今回は、研究分担者の志賀氏と研究協力者である道元氏・酒井氏が、PSVとPSTのテキストと和訳、関連資料からの訳註を準備し、それを毎回20人ほどの聴講者が各地から参加し、吟味検討し、桂が司会進行を務めるという形で遂行した。 ヴァイシェーシカ学派の推理論を批判的に検討するディグナーガの「教理的伝承」(アーガマ)に対する考えが明らかになった。また、彼の推理論・論理学の核心である「正しい証因の三特徴」(因の三相)に関するジネーンドラブッディの複雑な注釈を読み解くことによって、これまでにない「因の三相」解釈を提示できるようになった。 さらに「推理対象は何か」という問題設定で、様々な可能性を吟味した上で、「推理対象は、推理されるべき属性に限定された属性保持者である」というディグナーガの見解が明らかになっていくプロセスを検討しつつある。 2023年度も引き続きオンラインによる研究会を定期的に行い、ディグナーガの自説部分の残りと世親の「ヴァーダヴィディ」、ニヤーヤ学派、ヴァイシェーシカ学派の推理論に対するディグナーガの批判部分を読み進める予定である。 また、これまでの研究成果を「インド学チベット学研究」などの学術雑誌に随時発表していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進行しているが、昨年夏、研究協力者でサーンキヤ説批判の部分を担当することになっていた筑波大学の近藤氏が急逝したことは大きな痛手である。彼は唯一と言ってもいい我が国におけるサーンキヤ研究者であり、その後を埋めることは、極めて困難である。彼の担当部分は、龍谷大学の吉田氏・道元氏と桂が協力して担当することとした。 2023年度が本プロジェクトの最終年に当たるが、コロナの影響もあり、十分に研究会を開催することができず、テキストの全131ページを読了することは期待できない。したがって、後一年延長する予定でいる。
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今後の研究の推進方策 |
対面による研究会の開催よりも、オンラインによる開催の方が、日本各地のみならず、ウィーン在住の複数のプラマーナ研究者の参加が可能になるので、今後は原則としてオンラインの研究会を少なくとも月に1度、長期休暇中は、ハイブリッド形式も含めて数度開催する予定である。 これまで同様、担当者がテキスト、和訳、訳註を準備し、それをみんなで吟味検討して、なるべく妥当な結論、時には複数の解釈に到達するという形で進めていく。 2023年度には、上述のように、ディグナーガの自説部分の残りと世親の「ヴァーダヴィディ」、ニヤーヤ学派、ヴァイシェーシカ学派の推理論に対するディグナーガの批判部分を読み進める予定である。
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