研究課題/領域番号 |
21K00064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮嶋 俊一 北海道大学, 文学研究院, 教授 (80645896)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | フリードリヒ・ハイラー / ワイマール共和制期 / 宗教現象学 / ドイツ高教会運動 / ハイラー / ドイツ高教会 / ワイマール共和政期 / 宗教学 / 宗教運動 / ワイマール期 |
研究開始時の研究の概要 |
ドイツ・ワイマール共和制期において宗教学と宗教はいかに関わってきたのかというのが、本研究の核心にある問題関心である。この問いについて考察するため、「宗教学者」Heilerにとって彼が推進した宗教運動(ドイツ高教会運動)は何を意味したのか、それは彼の学問活動にどのような影響を与え、逆に学問活動はその運動にどう影響したのか、そうした宗教運動と宗教学との関係は同時代の宗教的・神学的宗教学者たち(Otto,Van der Leeuw, Hauerら)や彼らの関わった運動と、どういう点で共通し、どういう点で異なるのか、などを明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
本研究はフリードリヒ・ハイラーが深く関りを持ったドイツ高教会運動と彼の宗教学との関係を中心に分析することを目指している。その目的は、ワイマール共和制期ドイツにおける教会内外の諸宗教運動が宗教学の形成に与えた影響、及び宗教学がそうした宗教運動に与えた影響を明らかにすることにある。ドイツ高教会運動の研究はこれまであまりなされておらず、従来の宗教学の学問史的研究、ワイマール共和制期ドイツ宗教運動史研究の穴を埋める研究と言える。 これまで、『高教会(Hochkirche)』、『ひとつの聖なる教会(eine Heilige Kirche)』など、ハイラーが深く関わった雑誌に収められた論文、および『キリスト教世界(Die Christliche Welt)』など同時代に発行された雑誌等の資料収集とその分析を重ね、その研究成果を国内学会・研究会で発表してきた。またオンライン研究会を開催し、情報収集にも務めた。 23年度の成果として、ワイマール共和制期のハイラーの活動の場が雑誌『キリスト教世界』から『高教会』へと移行した経緯について解明した。また、それがもたらした彼の活動内容の変化についても確認した。具体的には、この時期、ハイラーの宗教学が今日的な宗教研究へと通じる営為から、より実践的・キリスト教神学的な方向へとシフトしていったプロセスが明らかとなった。日本宗教学会ではそうした成果についての口頭発表を行い、また『北海道大学文学研究院紀要』には論文を公表した。さらに、研究成果をより大きな文脈へと位置づけ直し、ハイラー研究を通じて明らかとなった宗教研究の可能性や限界について、国際比較文明学会や東アジア宗教社会学会などの国際学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度、ハイラーに関する一次資料を収集するため、また彼が創設に関わり現在も活動を続けている「ヨハネ兄弟団」(Hochkirchliche St.Johannes Bruderschaft)に関して聞き取り調査を行うために渡独する予定であった。具体的にはドイツMarburg大学の図書館を訪問してHeiler Archiv (Nachlass)などを利用する予定であったが、諸般の事情によりやむを得ずそれを中止した。それに代わって日本国内でこれまで未入手であった論文等を収集することに努めた。その結果、必要な資料は集まりつつある。これまでそれら収集した資料の整理・分析の作業を継続してきた。さらに、以前、Heiler Archiv (Nachlass)において収集し、まだ分析ができていなかった資料に関しても整理・分析を継続してきた。 渡独できなかったことの影響で、一部必要な資料を収集することはできていないが、それに代わって入手済みの著作・資料を読み進め分析を行い、その成果を日本宗教学会などで公表することができた。代替的な手段によって計画の遅れをある程度取り戻すことはできているものの、完全とは言えないため「やや遅れている」という判断に至った。なお、研究の遅れを取り戻すべく、研究期間を1年間延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
幸い1年間の延長を認めていただけたため、24年度は、昨年度できなかったドイツでの資料収集等を行いたい。マールブルク大学での資料調査を行うと同時に、ワイマール共和制期の宗教学・宗教運動に詳しいゲッティンゲン大学所属(Wissenschaftliche Nachwuchskraft)のFritz Heinrich氏から情報収集を行えればと考えている。それに加えてライプツィッヒ大学を訪問し資料収集を行うと同時に、同大学所属の研究者たちと交流の場を持ち、情報収集や研究発表を行いたい。 またオンラインでの研究会なども行い、情報収集と成果の発信を行う。さらに、最終年度であるため、日本宗教学会などの国内学会・研究会、さらに国際学会でも発表を行うと同時に、紀要や学会研究誌でもその成果を論文として公表した上で、これまでの研究成果を報告書にまとめる計画である。
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