研究課題/領域番号 |
21K00073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01030:宗教学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
三好 千春 南山大学, 人文学部, 教授 (30241912)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 日本カトリック教会 / 反共産主義 / 回勅『レールム・ノヴァールム』 / 日中戦争 / 教会指導者 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本カトリック教会が日中戦争を「防共聖戦」だとして、支持・協力したことの根底にあるものは何かを明らかにするために、1930年代の日本カトリック教会がどのような内容の反共産主義を語っていたか、また、1930年代の日本カトリック教会を牽引した教会指導者たちがどのような反共産主義や日中戦争観を述べていたかを解明しようとするものである。そして、それをもとに、日中戦争を積極的に支持・協力した日本カトリック教会が持っていた内的な論理と、カトリック神学との関係を解明しようとするものである。
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研究実績の概要 |
2021年度に引き続き、所属組織の長としての校務の比重がかなり重く、研究のための時間も削減された。そのような状況下で22年度は、日本カトリック教会の反共産主義の実態解明に関して、2023年3月25日に開催されたアジアキリスト教交流史研究会において研究発表を行った。 研究発表では、戦前の日本で刊行されていたカトリック系逐次刊行物に掲載された共産主義関連言説を分析し、19世紀末から1920年代までの日本の教会における共産主義に反対する理由が、教皇レオ13世が発した社会主義に関する回勅『レールム・ノヴァールム』に基づいて、社会主義が否定する私的所有権を肯定するがゆえであり、また、階級闘争ではなく労使協調を追求する姿勢が強いことにあることを明らかにした。そして、ヨーロッパで盛んであった社会カトリシズムへの共感が強いこと、当時のカトリック神学における労働観に基づき、日本の労働者に対する批判が強い点も明らかにした。 なお、共産主義に関する言説に関する史料収集の際に、1930年代以降は共産主義言説の質・量・内容などが大きく変化することに気が付いたため、23年度には、この点についてまとめ、20年代から30年代における変化の原因を明らかにしたい。 また、教会指導者の一人である田口芳五郎神父について考察を進めるために、引き続きイタリアで刊行された『Santa Sede e Manciukuo(1932-1945)』を少しずつ読み進めているが、22年度中には、この史料に基づく研究を発表することはできなかった。23年度には、何らかの形で公表することを目指したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記でも触れたように、所属組織の長として校務が大幅に増加したこと、また2022年度がカトリック名古屋教区設立100周年の年で、それに関する講演や記念誌作成の仕事に時間を取られたことにより、充分な研究時間を取ることが難しかったため。
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今後の研究の推進方策 |
1930年代における日本の教会の共産主義言説について分析と考察を行い、20年代までとの違いを明らかにして、その違いが日中戦争への協力にどのように影響したかに関する論文を完成させたい。 それと同時に、田口芳五郎神父についての研究を継続し、田口神父の北支、あるいは上海への慰問使としての派遣に関して、学会での発表や論文執筆を目指したい。
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