研究課題/領域番号 |
21K00081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 弘夫 東北大学, 文学研究科, 名誉教授 (30125570)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 死生観 / 納骨 / 霊場 / 幽霊 / 死者供養 / 浄土 / 熊野信仰 / ターミナルケア / 彼岸表象 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、古代から現代に至る日本列島における死後世界の表象とその変遷を総体的に解明し、国際的に通用するフォーマット化して、世界に向けて発信するとともに、広いコンテクストの中に現今の死生観や葬送儀礼の変動を位置付け、ターミナルケアや看取りなどに関わる今日的課題に対して具体的な提言を行うことを目標としている。 日本列島の死後世界観については、いまだに「死者は山に上る」といった柳田國男的なイメージが圧倒的な影響力を持っている。本研究は、列島の死後世界の表象を、一次資料を用いて実証的・通時代的・総体的に解明することによって、現今通用している常識的な「日本人の死生観」を根底から覆すことを目指している。
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研究実績の概要 |
1 京都国立博物館・国立国会図書館等において、日本列島の死後世界の表象に関する資料と研究文献を可能な限り系統的・網羅的に把握すべく、そのデータベース作成を進めた。またそれにもとづいた、列島の死後世界観の変遷の解明を試み、日本列島では死者がいつまでも身近に留まると信じられていたとする今日の通説とは異なり、かつて死者がこの世にいてはいけないと考えられていた時代があったことを指摘した。さらに、日本列島において死生観が幾度も劇的に変容していることを、研究発表や論文等において具体的に指摘し、研究界に向けて問題提起した。 2 文献の収集と分析に加えて、光悦寺・六波羅蜜寺(京都)、元興寺・般若寺(奈良)、熊野神社(東北各地)、聖神社(大阪)、平泉(岩手)などにおいて実地調査を行い、死生観の地域的偏差について考察した。 3 「平泉学フォーラム」をはじめとする各地の関連する研究会・シンポジウムなどに出席して研究成果の発表を行うとともに、参加者と積極的に議論を進め、問題意識を深化させた。 4研究協力者と協同して上記の作業を進め、広範な学問分野で積み上げられてきた研究成果を整理するとともに、文献研究と各フィールドにおける成果の統合の上に、広い視点から日本列島の死後世界の全体像とその変遷の実態を解明を目指した。また、アリエスなどによる既存の方法論を意識しつつ、海外との比較が可能となるような研究成果のフォーマット化を推進した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナパンデミックによる移動の制約の影響が大きく、国内外での調査・研究打ち合わせ、研究発表のための出張を予定通り行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、研究協力者と協同して当初の研究計画に沿った作業を進め、文献研究と各フィールドにおける成果の統合の上に、最終的に日本列島の死後世界の全体像とその変遷の実態を解明することを目指す。当該課題に関して提起されている最新の国内外の方法論を意識しつつ、海外との比較が可能となるような研究成果のフォーマット化を進めていく。また、学会発表・雑誌への論文執筆・インターネットなどのさまざまなメディアを用いてその成果を国内外に発信していく。 研究内容を、介護や終末期医療に関する研究会やシンポジウムなど、社会的実践に関わる人々が集う場において積極的に発表し、研究成果の社会への還元を試みる。その結果のフィードバックを通じて 問題意識のさらなる先鋭化を図る。そのために、東北大学で行われている「臨床宗教師」育成プロジェクト、及び岡山大学で行われている「老年学」プロジェクトなどと連携を進めていく。 本研の成果を共同研究者とパネルを組んで、国内学会及び国際学会において発表する計画を立案中である。
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