研究課題/領域番号 |
21K00085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
小林 春夫 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70242229)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | イスラーム哲学 / シャハラズーリー / 比喩と象徴 |
研究開始時の研究の概要 |
【研究①】13世紀のイスラーム哲学者シャムスッディーン・シャハラズーリー(Shams al-Din al-Shahrazuri、以下シャハラズーリー)の著書『譬喩と象徴』(al-Rumuz wa al-Amthal)のテクストを校訂・邦訳し、その思想史的意義を明らかにすることを通して、後期イスラーム哲学の実態解明に不可欠な基礎資料を提供する。 【研究②】上記の研究課題と、申請者がこれまでに進めてきたイブン・スィーナー研究の成果とを総合して、後期イスラーム哲学(13世紀~近代)の多様性と連続性に着目した、通史的展望を提示する。
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研究実績の概要 |
本課題研究はシャハラズーリー『象徴と比喩』のテキスト校訂ならびに同テキストの成立背景と思想史的意義との解明を目的とするものである。 (1)『象徴と比喩』のテキスト校訂については、引き続きT写本(MS. Tunikabuni 39)とこれまでの作業で確定したテキストとの校合をすすめた。その暫定的成果として、同写本は写本系譜においてオリジナル(著者自筆本)に近いものであるが、これまでの校訂作業で基準としてきたN写本(MS. Nuruosmaniye 2263)よりオリジナルに近いとまでは言えず、またN写本の転写でもないことが判明した。またT写本は明瞭な書体で書かれており、文法的な乱れも少なく、欠損もない完本であることから、校訂版作成にあたってはvariant reading(異本)として採用することとした。 (2)関連研究である後期イスラーム哲学の通史的研究では、前年度に引き続き、若手研究者との研究会を今年度は6回開催し、Cambridge Companion to Arabic Philosophyの訳読と、それぞれが専門とする研究分野についての情報交換をおこなった。 (3)また上記研究会のメンバーによる企画発表を「ポスト・イブン=スィーナー期の哲学、神学、医学」と題して日本オリエント学会第65回大会(大阪大学)にておこなった。 (4)本課題研究に関連する文献資料を多数収集し、先行研究の分析と吸収に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「おおむね順調」にとどめた理由は、中東地域の不安定な社会状況のため、予定していた海外調査を中止したためである。その結果として、写本の現地調査、研究会等への出席、現地研究者との情報交換を見送らざるをえなかった。その他の活動については、下記のとおり、おおむね順調に進捗していると言える。 (1)シャハラズーリー『象徴と比喩』の校訂作業は最終段階にあり、テキストの確定と索引等の補足作業をおこなっている。またテキストの和訳ならびに解題の執筆も進めている。 (2)本研究に関連する研究会については、4月29日、5月27日、7月22日、1月27日、2月17日、2月24日の計6回(毎回13:00~18:00)開催し、数名の若手研究者とともにCambridge Companion to Arabic Philosophyの訳読および参加者の専門領域に関する意見交換をおこなっている。 (3)本課題研究の成果の一部として、「ポスト・イブン=スィーナー期の哲学、神学、医学」をテーマとした発表を日本オリエント学会第65回大会(10月29日、大阪大学箕面キャンパス)の企画セッションとして実施した。発表者は小林春夫、加藤瑞絵、宮島舜、橋爪烈、矢口直英。 (4)本課題研究に関連する図書や論文を多数収集し分析に努めた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)シャハラズーリー『象徴と比喩』のテキスト校訂を継続し、一定の完成を目指す。またこれに関連する追加調査を実施する。これは地域の情勢次第ではあるが、エジプト、イラン、トルコ等での資料収集にも努めたい。 (2)後期イスラーム哲学史に関する論文等を学術雑誌に投稿し、学会等で成果の発信に努める。 (3)本課題研究に関連する文献収集を継続するとともに、若手研究者との研究会を年に数回開催する。
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