研究課題/領域番号 |
21K00086
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
細田 あや子 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (00323949)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | アーシプ / 知恵文書 / 知恵の神エンキ/エア / 『ギルガメシュ叙事詩』 / シャーマン / 古代メソポタミア / 儀礼 / アダパ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、古代メソポタミアの職能者アーシプが、自ら修行しイニシエーションを経て技能や知恵を獲得し、それを弟子たちに継承させていた実践とその基盤となる思想を総合的に解明する。さらにアーシプによる文書を「知恵文書」(修行の書、師から弟子への秘儀書)と位置づけることを目的とする。世界最古の宗教思想の一つであるメソポタミア思想の成立、継承、展開を、アーシプの儀礼行為や弟子への教育、秘匿の教えの伝承内容から解き明かし、宗教思想史研究に新しい独自の成果をもたらすことを目指す。
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研究実績の概要 |
古代メソポタミアの宗教的職能者アーシプたちの思想形成を研究するために、彼らが書き記した文書の特徴を考察している。とくに『ギルガメシュ叙事詩』を中心に講読した。『ギルガメシュ叙事詩』は何世紀にもわたって語り継がれてきた物語であり、多様なモティーフやエピソードが組み合わされて成り立っている。なかでも旧約聖書、創世記のなかのノアの箱舟のエピソードと共通する洪水のモティーフは、よく知られている。このモティーフにおいて、知恵の神エアが、ウータ・ナピシュティに船を作って洪水を免れるよう間接的に指示する行為が注目される。エアがある特定の者にしかわからない事柄を伝承させるというモティーフの存在がうかがわれるからである。エアはアーシプたちの守護神と考えられるため、アーシプたちのあいだに秘義として伝わっていた教えがあったことが想定される。また、アーシプの儀礼においても高度な技術を必要とするものがあり、それにはエアによる導きが不可欠であった。エアとアーシプとの関係を検討することにより、アーシプたちが伝承させてきた思想ならびに知恵文書の特徴がより明らかになるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染拡大防止のための外出制限により、国内、国外の出張が予定通りにできなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き『ギルガメシュ叙事詩』や『アダパ物語』の解読を進め、これらに見いだされる特徴をさらに明らかにしてゆく。アーシプによる儀礼で用いられる唱えごとにも注目し、アーシプが伝承させてきたことがらについて考察を深める。
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