研究課題/領域番号 |
21K00098
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01040:思想史関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
石川 敬史 帝京大学, 文学部, 教授 (40374178)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 共和政 / 帝国 / 連邦政府 / 大統領制 / 奴隷解放論 / コスモポリタニズム / ジョン・アダムズ / ジョン・ジェイ / 共和主義 / キリスト教 / 混合政体論 / イギリス帝国論 / 環大西洋史 / グローバルヒストリー / 高等教育制度 / アメリカ革命 / 権力分立 / 民主政 / 反知性主義 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アメリカ革命を指導した人々の知的環境に着目し、植民地時代アメリカを知性主義という観点から再検討することによって、イギリス領アメリカ植民地を18世紀の環大西洋世界において再定位し、アメリカ革命の特殊性以上に、ヨーロッパ政治思想史との共通性を明らかにする試みである。そして共通性を明らかにすることによって、アメリカン・デモクラシーという特殊な概念により普遍性の高い定義を提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究計画は、イギリス領北アメリカ植民地が、イギリス本国からの独立を決断するに至るまでの地域的成熟を政治史に寄り添いながらも、主に知的側面の発展に焦点を絞り植民地がアメリカという一つの政治隊になる過程を明らかにすることを目指すものである。研究活動の中心を成したのは、植民地時代の知的風土および教育についての研究論文、研究書の収集とその読み込み、整理を行うことであった。この活動は概ね順調に進んでいる。外部に公表した研究成果としては、①単著論文「アメリカ合衆国はエンパイアの夢を見るかー170年の自由の歴史から始まった国」『中央公論』7月号(52-59頁)、②単独発表「The Genealogy of “Long emancipation”:on David Gellman, Liberty's Chain: Slavery, Abolition. and the Jay Family of New York (Cornell University Press, 2022)」および、同じく③単独発表「『王のいる共和政』から初期アメリカを再考する』がある。 ①は、近世的帝国の一角として自らを理解していたイギリス領北アメリカ植民地側の論理と、議院内閣制による主権国家として自らを再編していたイギリス本国との統治原理の相克を描き出し、併せて、この啓蒙の時代に発展しつつあった、エメール・ド・ヴァッテルの国際法理論、およびコスモポリタニズムの展開の重要な一時例を俎上に乗せた独創性の高い論文になったと考えている。②は、植民地時代末期から建国初期の代表的な人物であるジョン・ジェイを題材にカリブ海、大西洋に起源をもつ人々の奴隷解放論の発想について検討した。③は、大西洋世界の知識人に共有されていた共和主義思想の文脈から見て、アメリカ連邦共和政が必ずしも異質なものではないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学務の多忙、体調の不良などにより、計画通り順調に進められたわけではなかったが、困難な中でもかろうじて方向性を誤らずに研究作業を遂行できていると判断している。現段階では研究計画に大きな変更は生じていないので、研究計画書は妥当な狙い目だったと考えている。ただし、発表業績が年度当初の計画より少なかったのは遺憾であった。次年度は、より活字化、学会発表という形で、研究計画を他の研究者の目に触れる機会を増やし、より制度の高いものにしたいと希望している。
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今後の研究の推進方策 |
研究年度の最終年度は2024年度になるが、それに向けて、より積極的な研究成果の活字化、学会発表の機会を捉えて、良い意味で、研究計画の修正を図り得るような機会をとらえていきたいと考えている。本研究計画に今一つインパクトが足りないとすれば、外部の研究者の視点だと思われる。2023年度はより外部に向けて研究活動の意義や成果を示していきたいと考えている。
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